見出し画像

社会支援活動の下請け化

 子ども食堂の存在は知っていても、どのようなものかよく理解されていない方も多いと思います。
 私自身も行ったことはないのですが、子どもが不登校になり、学校と家庭以外の居場所を必死になって探している時(様々な窓口から様々な場を紹介されましたが、子どもが行きたがる場には辿り着けませんでした)に、地域の交流の場として子どもたちが多数来ているので、行かれたらどうでしょうと、子ども食堂を紹介されたことがありました。
※実際には子どもの意思で行かなかった。
 当時は子ども食堂の創成期でしたが、その時に不登校の子どもの居場所にもなり得る幅広い交流拠点で、ユニークな存在であることを認知しました。
 その後、自治体の子ども・子育て委員として不登校生の居場所づくりを提言している中で補助金として、極めて些少な予算が計上されていることに気づいて、子ども食堂は不登校生のためだけの場所ではないけれども、その機能も含んだ多様性のある市民起点の交流の場であり、もっと積極的に財政支援して欲しい旨お伝えした結果、居場所づくり施策の強化を検討する中で、不登校生を想定した居場所と並行して、食堂運営費が事業補助金の対象となり予算の拡大に繋がりました。
 子ども食堂は12年前に、東京都大田区からスタートして、現在は全国で約9千箇所規模で活動(ボランティア)されているとのことですが、その普及の背景には、地域交流(地域で困っている人に有志が手を差し伸べる。)の場として自主的に発足したものを、貧困の社会的問題(社会に貧困問題があること自体を世間に認知させ、社会的に解決すべき課題であることとした。)を提起した「派遣村村長」で知られる湯浅誠さんが貧困対策の側面で支援した活動があったことは最近知りました。
 ところが子ども食堂の創設者(名付け親でもある。)の近藤博子さんの動画を拝見したところ、子ども食堂にも行政から、補助金支給の一方、地域の抱えるさまざまな課題へ対応するプラットフォームとしての機能強化(さまざまな地域課題の窓口化、災害対応拠点としても想定)が期待されつつあるとのことです。
 動画の中で近藤さんは、その期待に対応するには現場負担が過大(食材費や設備費は補助するがスタッフの人件費補助はなし。)であるし、本来ボランティアとしての活動であり、子ども食堂を必要とする背景にある社会的課題への対応は国を筆頭とする行政のミッションであると語られていました。
※そうでなくても、さまざまな家庭の問題(例えば虐待)を知り、可能な支援はされているとのこと。
 正にその通りであると共感しますし、民間の努力で成り立っているインフラに、低コストで乗っかろうとする行政の無責任な意識、姿勢を感じざるを得ませんでした。
 前に投稿した際に触れた、大人のひきこもり問題でも、ある自治体が当事者発のNPOに僅少な補助金を出す代わりに、相談窓口を数量目標(年間の相談件数)まで設定して丸投げしていますし、貧困者支援においても行政の下請け化が進んでしまっているとのことです。
 これは行政の劣化の象徴であり、近藤さんが指摘されている通り、地域の困っている人のお役に立ちたいという優しさ、熱意を持っている方が多数いらっしゃるということで救われている社会を本来救うべき機能を果たすべき機関が機能しなければ、より住みにくい世の中になってしまうことを強く懸念します。
 このような社会支援活動の解決策については、現場を知るものがより強く行政に求めていかなければならないですし、特に私としては関与している不登校支援について発信していきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?