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教育・福祉の民間委託

 民間企業に勤めていた時は、派遣社員の増加を身近に感じていましたが、不登校支援の活動を始めて気がつくのが、以前noteに上げた公務員の非正規化(有期雇用職員の増加、約4割を占め、ハローワークの相談員も有期雇用)と教育や福祉部門の民間委託の多さです。
 いずれも2001年以降の小泉・竹中コンビによる「聖域なき構造改革」(当時は社会から賞賛されましたが…)の流れですが、保育園や学童保育、療育、放課後等デーサービス、児童発達支援センター、委託ではありませんがフリースクール、フリースペースや通信制高校、サポートになど教育全般、福祉・介護も地域包括支援センター(約8割とのこと)を始め、大人の引きこもり支援もNPOに若干の補助金を出す代わりに相談対応は丸投げとのことで、就労支援を含めて知らないうちに公助を民間企業が肩代わりする社会になってしまっています。
 教育や福祉といったベーシックな公共サービスを民間委託するメリットは新自由主義的なコスパの向上にあるのでしょうが、公の範囲が狭まった社会は斉藤幸平さん(東京大学准教授)が指摘されるように、人類にとって不都合が生じやすい環境だと思いますし、人間の生活にとって基盤となる部分ですので、デメリット面を十分に考慮すべき事項だと思います。
 一つの例として、一時待機児童問題が大きな関心を集めていましたが、現在は数的にはほぼ解消(小池都知事も公約の第一の達成項目に上げています。)しています。
 その実態は不足数を減らすために民間事業者の認可を拙速気味に急いだため(公立→民間の移行で、自治体の負担額が減少するインセンティブあり。)で、一方で公立は縮小、廃止する流れとなり、スタッフの低賃金化による質の低下により、利用者満足度の低下や民間企業による補助金不正等の問題も発生しています。
 このような元々公的な機関が担っていたことの民間委託は、当事者にならないと気がつかない内に一気に進んでしまったようで、昨今の様々な政治不信事例と共通する、意図的な情報開示・共有不足と本来の政治機能である「困っている人へのケア、支援」が低下する傾向と共通しており、能登復興支援の遅れにも通ずる「切り捨て」の感じがして薄ら寒いものを感じてしまいます。
 まずは現状を市民で共有して、皆んなで考えていきたい課題だと思います。

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