経済効果と環境保護と芸術性の狭間で。 「バイヨンヌのランタン祭」 in 仏バスク地方
今日はクリスマス!
ここバスク地方でも、各地でクリスマスイベントが目白押しです。ほとんどは子供向けのイベントですが、大人が楽しめるものも。なんといっても1番の人気は、バイヨンヌのランタン祭です。
「え?ランタン祭、やるの!??」
実は私、クリスマスイベントのスケジュールを見た時にすごくビックリしました。ランタン祭は、環境問題に考慮して中止になったはずなのです。
それにもかかわらず、突然ランタン祭の開催がアナウンスされました。SNS上でも「え!?ランタン祭って中止になったんじゃないの?」という声が上がっています。もちろん、「またランタンが見れるの?嬉しい!」という喜びの声もたくさんあります。
なぜ、今年は開催することにしたのでしょう。
「今年の開催が、本当に本当の最後」
たまたま立ち寄った、同じバスク地方の街サン・ジャン・ド・リュズの観光案内所で聞いたところ、「え!?バイヨンヌ市でランタン祭やるの?なんで?」と、逆に私が質問攻めにあいました。いやいや私に聞かれても…。でもそのくらい、ランタン祭の開催は突然の決定だったようです。
そこで、ランタン祭を開催するバイヨンヌ市の観光案内所に出向き、聞いてみました。すると「理由はわからないの。市が決めたことだから」とのこと。でも「今年の開催が、本当に本当の最後になる」、それは確実だそうです。
ランタン祭当日
今年のランタン祭は、2週に渡って開催する予定でした。でも最初の回は、雨天強風の為に中止に。お隣のスペインからもたくさんの方が、この日のために来ていました。19時半に開催予定だったのを20時に変更しましたが、残念ながら天気予報が外れて、雨足が強くなってしまいました。
そして、2回目の開催日。
もう一生見れないであろうランタン祭です。今日は快晴。風もありません。私は5時間ほど前に街に着きましたが、すでに場所取りの方でいっぱいでした。
お祭りは無事に開催。
大勢の方が解き放ったランタンが大空に舞い、それはそれは幻想的でした。
本当に今年が最後なのかな…
さて、今回が最後のランタン祭とのことですが「さてどうなるかな」というのが率直な感想です。これだけの観光客の方が訪れるのであれば、経済効果だけを考えると、今後も続けたいのが市やビジネスをされている方の本音なのかもしれません。
それに、空に舞うランタンはこの世のものとは思えない美しさで、たくさんの人に感動を与えてくれます。正直、ずっと続いて欲しいな…と思うような美しいお祭りでもあるのです。
ですが、環境問題という観点から見ると、決して喜んでばかりはいられません。実際、ランタン祭の後はいつも環境問題についてたくさんの意見が交わされます。2021年には、抗議デモもありました。現在も、ランタン祭りの開催からすでに10日ほど経っていますが、SNS上で活発な意見交換が行われています。
木にぶら下がる、燃え尽きたランタン
ランタンの材料は、プラスチックは使われていません。ランタンの袋の部分は、すぐに破けてしまいそうな成分分解されるビニール。そして、キャンドルを支える部分に針金が少しだけ使われています。
私は今回、街の少し外側で見学しました。
するとやはり、ランタンが木に引っかかってしまって枝が燃えたり、高い木の上にぶら下がっているランタンの残骸を目撃しました。
誤解がないようにお伝えしておくと、バスク地方の街は、ゴミが落ちていない美しい地域です。ランタン祭の後も、すぐにゴミ収集車が出ていました。市民の方たちも、街中に落ちているランタンの残骸を集めながら帰路に着いていました。
それでも回収しきれないゴミは発生します。森の中まで飛んでいる物もあるかもしれません。海が近いので流れ出てしまう危険もあります。そして、動物や魚も同じ場所で生活しているのです。
本当の美しさとは何か
「今年が本当に最後です」
この決断は素晴らしく、だから私はこの土地が好き。でももしまた開催されるなら、やっぱり見に行きたい。矛盾する2つの気持ちが交錯しています。
「経済効果」と「環境保護」と「美しさ」の狭間で、何が正解なのか。一人一人が自分の頭考えて自分自身の正解を出し、その上で、異なる視点を持つ人と意見を交換する大切さを感じています。多角的に意見交換できるのが、フランスの良いところでもあります。
本当の美しさとは何か。私もずっと自問自答しています。できることならば、動植物の意見や、地球の意見も聞きたいところです。
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