唯情 -くらげの唄-
或る初秋の夕暮れ。二人の少女は手を繋ぎながら、紅葉の散る公園の長椅子に腰掛け、大通りの道行く人々を眺めていた。
しばらくして陽が完全に沈み込んだ頃、
「お前さんたちはまだここにいるのかい」
二人の背後から声を掛ける者がいた。
「私はいつもここで寝るんだ」
と続けた。右側に座っている短髪の少女は、大通りを見据えたまま応えた。
「気が向いたら、そのうち退くわ」
左側に座っているおさげの少女は無言のまま振り返り、杖をついている年老いた男性をじっと見ていた。
「君たちは何が不満なのだ