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【 note公式マガジンに収録されました 】 BOOKホテルにて

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💡noteの公式マガジンに収録されました💡

【 ホテル・旅館 記事まとめ 】

お題企画「 #泊まってよかった宿 」や関連する投稿の中から、ホテルや旅館など、さまざまな宿泊施設にまつわるすてきな記事をまとめるnote公式マガジンです。


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以前、「自分へのご褒美」をテーマにしたエッセイを書いた際、こんなコメントをいただいた。

「私の場合、自分へのご褒美は1人の時間をつくることです。例えばBOOKホテルに行くとか。1人で何にも縛られずに自由にいれる時間が至福の時なので」

なるほどと思った。
職場やSNS等で人との繋がりが重視される今の時代に持ちにくくなっている1人の時間。でも実はそれはとても大切で必要な時間なのかもしれない。

自分の場合、誰かといると無意識的にサービス精神のようなものが働いてテンションが上がり、思っていることと言葉がずれていってしまうような感覚を覚えて、とても疲れることがある。そしてその乖離を埋める時間が欲しくなる。

例えば、川沿いの緑道をただただ歩きながら木々に目をやったり、せせらぎに耳をすませたり。そんな時間があってもいい。

自然を前にすると白いキャンパスに向き合っているような気持ちになれるというか。向こうから押しつけてくるものがないので、思考が自由になる。
そんな場所は他にもないだろうか。

早速、コメントに書いてあった「BOOKホテル」を探してみる。あった ! 


めっちゃお洒落 ! 
奥が寝るところだろうか。たくさん積まれた本の横にはソファらしきものがある。
こんな空間があったなんて。早速行ってみた。

カフェスペース


入ってすぐの所にはカフェスペースがある。
単にカフェとして利用してもいいし、店内の本を持ってきて読んでもいいらしい。
この奥に宿泊スペースがある。チェックインを済ませて早速中へ。

入ってすぐ見える内観


中に入るとまさにそこは異空間だった。
壁一面が本棚になっており、その本棚の中に個人の宿泊スペースがある。本に囲まれた静かな空間がそこにはあった。

古い雑誌や絵本コーナー、洋書など、まるで大人の図書館といった雰囲気で、男女問わず宿泊客が思い思いの場所に腰掛けて本を読んでいる。

古い雑誌のコーナー


絵本のコーナー


洋書のコーナーには村上春樹の著書の英語版まである


こんな本も見つけた


ひとしきり読んだ後、シャワーを浴び、本が並ぶソファに座って気になる本を読みふけった。
同じようにシャワーを終えた多くの宿泊客がパジャマ姿で至る所に腰掛けたり立ち読みしていたり。

静まり返る部屋の中でページをめくる音だけが響く。みんなそれなりに夜更かししていた。
僕もあまりの居心地の良さに思わず寝落ちしそうになってしまった。


ところで天井に吊り下げられているのは何だろう ?

 

漫画の切り抜き。こんな所にも遊び心が隠されていた。


夜中の1時頃、ほとんどの宿泊客が寝室に引きあげたところで、僕も寝ることにした。
室内も狭くはあるがなかなか落ち着いたいい雰囲気だった。


部屋の入口はこんな感じ


中もなかなかお洒落な空間だった。


この後、しばらく寝室で本を読んだ後、就寝。
人生で初めての「本に囲まれて寝る」体験。まさに夢のような夜だった。
翌日、歯を磨きチェックアウトして店を後にした。


洗面所も綺麗にされていた


こうして僕は初めてのBOOKホテルを満喫した。
心がリセットされたようで開放感に満ちていた。

日々、外部からたくさんの情報が波のように押し寄せてくる今の時代において、1人の時間をつくることは流れていく日常に小さなストッパーをかけるような行為なのかもしれない。

毎日、ものすごいスピードで過ぎ去ってしまうが、その時に過ぎ去っているのは時間や物事だけじゃなく、感情もそう。その時々の「自分の心」を立ち止まって見つめてみる。

「あの時どう感じていたんだろう」
「本当は何を思っていたんだろう」
と、1人になって自分に問いかけることが、自分には必要だと思う。

そうして心の中を覗いた後は、忙しさやストレスから張り詰めていた気持ちに隙間が生まれたり、周りの景色がほんの少し変わって見えたり、不思議といいアイデアを思いついたりする。
今回の経験でそんなことに気づいた。

慌ただしく流れていく日常の中で、ふっと立ち止まることができる、自分だけの空間、時間は人それぞれだろう。どんなものがあるだろう。

例えば、カフェ、バー、銭湯、植物園、月や星を眺める場所、車の中、1人で行く焼肉屋、美術館、映画館、書店、古本屋、図書館、公園、知らない道、人と会う前の10分間、散歩、早起きした朝(様々なSNSのタイムラインが動き出す前)、日記を書く時間、一人旅、お墓参り、ランニング、等。その他。

誰かと食事をしていて相手がトイレに行った数分間のような、解放感と緊張感が混ざった不思議な時間なんかも僕はけっこう好きだったりする。

誰かといる時間、1人の時間は、まるで「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」のような、脳の活性と休息の関係性にも似ている。

時々、1人の時間をつくって深い休息を取り、心を整える。自分が整っていないと人に対してできることも少なくなる。まず自分を満たし、溢れ出たエネルギーを周りの人に配る。そうすると喜びや感謝が巡り、また自分も元気になれる。そんな気がする。

覚えておかないといけないことは手帳やスマホのメモに書いておいていったん忘れる。毎日30分でもいいのでSNSやネットを見ない時間をつくる。仕事や約束の時間の30分くらい早く着いておく。

あるいは、情報は検索エンジン等で見つけに行く「プル型」ではなく、あらかじめ興味のある情報を決まった時間に自動的にスマホやPCに流れてくる「プッシュ型」にするなど。

1人の時間をつくるために工夫できることは案外、色々と浮かんでくるものだ。

自分の内なる混沌に巡り合いたければ、じっと口をつぐみ、自分の意識の底に一人で降りていけばいいのです。

村上春樹「職業としての小説家」(新潮文庫)


人は1人では決して生きていけないけれども、1人でいられる時間が全くないのも息が詰まる。
たまにはこうした時間を意識的に設けるのはいかがでしょうか ?

皆さん、どんな工夫をされていますか ?

      

     # 1人の時間


をつけて、よければ色々聞かせてください。

 

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