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#112 中学校技術科教員数について

皆さんこんにちは。
サッカー、旅行、読書、Voicy好きのコウチャンマンです。
今回も記事に辿り着いていただき、ありがとうございます。
日々の気付きから、私の学校現場での経験や教育行政という立場から学校を見てきた経験を皆さんのお役に立てたらと思い、記事にしております。

先日、文部科学省から中学校技術科教員の実態について発表がありました。
端的に言うと、技術の教員数が不足しているということです。
技術の教員免許を持っていない人に特別に授業をする資格を与えて、授業をしている実態があるということです。

このことを解決するための1つの手段には、技術科の教員を採用しないといけません。
ということで、各都道府県の教員採用選考の実施要項と採用数を調べてみました。
ただし、多くの自治体で採用見込み数を教科ごとに公表していないことが多かったです。
そのため、採用見込み数が公表されていたところをまとめてみます。

採用見込み数、受験者数、合格者数で表示してみます。

北海道:15名、8名、6名
茨城県:14名、18名、14名
東京都:30名、30名、23名
神奈川県:30名、15名、6名
福井県:2名、4名、2名
三重県:4名、10名、4名
兵庫県:10名、18名、13名
和歌山県:5名、2名、2名
島根県:1~3名、0名、0名
岡山県:6名、4名、6名
山口県:4名、3名、1名
愛媛県:10名(技術と家庭の合計)、4名(技術のみ)、2名(技術のみ)
高知県:2名、1名、1名
福岡県:15名、12名、8名
佐賀県:2名、3名、2名
長崎県:6名、7名、4名
大分県:4名、3名、3名
宮崎県:3名、2名、2名
鹿児島県:4名、6名、4名

以上となりますが、どう思いますか?
約半数の11の自治体が採用見込み数より受験者数が少ない状況です。
これがおそらく全国でも同じ実態なのでしょう。
そして、受験者数が採用見込み数より多かったとしても、合格者数が採用見込み数より少ないところもあります。
合格者数が採用見込み数より少ない自治体は、12あります。
もちろん、誰でも教員になれるわけではないので不合格者が出てしまうのは仕方ありませんが、採用見込み数より少なくなってしまうのは別の問題が生じてしまいます。
だから、臨時免許状の交付が多くあるわけです。

この状況は近年続いている中、文部科学省は次のように言っています。

中学校技術・家庭科(技術分野)の指導体制の一層の充実について(通知)
文部科学省 令和6年2月13日

令和6年度には臨時免許状の発行人数を300人程度減らすということです。
ということは、技術科教員の人数を増やさないといけません。
でも、教員採用選考は上記の状況です。
どうするのでしょうか。
文部科学省が発表している各自治体の対応策から考えてみました。

①複数校で授業の実施。
これは解決策の1つです。
技術は授業時数が少ない教科の1つなので、曜日によって勤務する学校数を変えることはできるでしょう。
でも、よく考えてみてください。
皆さんが複数の学校で授業をしてくださいと言われたらどう思いますか?

「担任をやりたいのにやれないのでは?」
「移動する時間が大変(特に過疎地)」
「生活指導を2校でするの?」
「会議や学年等は両方で所属しないといけないの?」
ということが挙げられるでしょう。
それとも、いずれか一方は講師のような対応ということでしょうか。
しかし、そう単純に数字だけ当てはめるわけにはいかないと思います。

講師であれば授業のみをすることになるのですが、正規教員となると分掌や学年業務もあります。
その中で授業準備をしますが、学校によって施設面の状況が異なるため、教材も異なる可能性はあります。
授業展開も変えないといけません。
それを分掌や学年業務の傍ら準備するということでしょうか。
正直、現実的ではありません。
もちろん、講師と同様に授業のみをするということであればできる可能性はありますが、教員になる人は「担任をやりたい」と使命感をもって教員になっている人がほとんどです。
それが、たまたま技術科教員になったがためにできなくなるのはどうなんでしょうか。

②ICTを活用した遠隔授業
コロナ禍になり、ICTを活用した遠隔授業も取り入れる考えもあるでしょう。
これは可能性が秘めているものとも考えられます。
技術科にはプログラミング教育をはじめとして情報技術の内容もありますので、遠隔授業に長けている人も多いでしょう。
ただ、技術科では一つ解決しないといけないことがあります。

実習の際の安全管理です。
技術科の授業では、のこぎり、金づち、電動のこぎり等の器具を用いる作業があります。
これを生徒だけで使用させることは安全管理を怠っていることになります。
ということは、だれか大人が一人以上付く必要があります。
地域人材を活用するなど学校が工夫しないといけないですね。
それも、多少の知識がないと対応も難しいでしょう。
このあたりが解消されれば、ICTの活用はできる可能性があります。

授業の形については、子供たちは変化に対応できる場合が多いため、順応していくでしょう。
あとは、学校側の体制が作れるかどうかです。
技術科だけの問題にせずに、学校、地域、自治体としてどう取り組んでいくのかを全員で考えていかなければなりません。
文部科学省からのお達しを待つのではなく、1歩でもよいので改善できるよう考えていきたいものですね。

最後まで読んでいただきありがとうございます。
皆さんにとって何か気づきがあれば嬉しいです。
それではまた次の記事で!

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