見出し画像

胃がん、その後

2023年9月末に、ロボット支援手術で胃の2/3をとりました。取った胃は直接見ていないけど、びろんと広げられて、一部刺身のように薄くスライスしたモノクロ写真を術後1か月の検診で見ました。あぁ、私の胃。かつて私の一部だったもの。

私は、胃の真ん中あたりに約5センチのガンがあったので、胃の上の部分は残せたものの、下がまるっと無くなり、直接小腸に繋がっています。胃というのは、私もよく知らなかったんだけど、色々な働きをしていて、食べたものが適量適切に腸に行くように、下には「弁」があるそうです。それがなくなったので、つまり食べたらすぐ腸に流れる。そのことにより、ダンピング症候群というものに悩まされます。

「でも、若いから案外すぐ馴染むかも」と術前、主治医に言われました。世間で私はもう良い年ですが、病院内では若い部類らしく、先生の言った通り思ったより上手く生きています。体重もいっときは平時より5キロ痩せましたが、今はマイナス1キロ位を保っています。

とはいえ、なんでも食べられる!とは一生いかなくて、食事と飲み物を一緒に食べる!ラーメン食べてスープも飲み干す!フライドチキンに貪りついて生ビール飲む!というのは、恐ろしくてできません。一度に食べられる量も、成人の半量ほど。たくさん食べて飲むと、ドドドドーと水分も食べ物も一緒くたに腸に行くので、訪れるのは強烈な腹痛ととめどない下痢です。ヘロヘロに疲れて、体重もガクンと減ります。

先生に言われたのは、胃酸の量が減るので「よく噛んで」「消化の良いものを」「でも挑戦も忘れず」「だからといって調子には乗るな!」です。

今だに食べるのに勇気がいるのは、辛いもの、アイスなどの冷たいもの、蕎麦、消化の悪いイカやタコです。その他、術後すぐは痛くなってダメだったラーメン(スープは少しだけ)、筍、こんにゃく、さつまいも、蓮根、チョコレート、揚げ物は適量なら大丈夫になりました。

息子なんて、私が病気だったことをすっかり忘れているようで、出先で「あ、これママ食べられないから、食べて」なんて言うと「へ?どうして?」と素で聞いてきます。健康だと思われてるくらいが親としてはありがたいです。

術後会う友人にもいつも食べ物の心配をさせるのが申し訳ない。でも、案外私が平気そうで、拍子抜けされます。でも、100%元気じゃないのよ、と甘えたい気持ちもする。

胃がちっさくなっちゃって、好きなもの食べられなくなっちゃったけど、もちろん生きてる方が良い。そう思って、友人や知人に検診を勧めますが、唯一私の言葉を聞いて初めて胃カメラを飲んだのは、行きつけの美容師さんだけ。友人も家族も全然行ってくれない。

私も「まさか自分が」でした。自覚症状なんかないよ。なくても5センチのガンがあったよ。でも幸いにまだ初期だったから、手術して元気になったよ。

自分の病気がわかった頃は検診しろ〜お化けでしたが、怖いだの忙しいだの理由あげて行かない人は、それもその人の選択で自由だな、と今は思っています。病気がわかって、自分の命の期限が告げられても、向き合い、受け入れられる度量があるんだな、と尊敬しています。私は、私が安心するために、皆には検診行ってほしいけども。


この記事が参加している募集

自己紹介

よろしければサポートお願いします。いただいたサポートは、演劇活動の費用に使わせていただきます!