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繋がれたボート

最近通い始めた就労移行支援で先日教えていただいた詩がある。

「湖に浮かべたボートを漕ぐように人は後ろ向きで未来へ入っていく」ポール・ヴァレリー

手漕ぎボートは過ぎ去った景色を見つつ先へ進む。過去を振り返りながら先の見えない未来へ進む人生のようだと例えた詩である。

過去を変えることはできない。しかし未来へ進むには過去を振り返りつつ進むしかない。

しかし私の過去はなかなか過酷だった。
私の経歴を話すと大抵『ものすごく運が悪かったんですね』と言われてしまう。未来を判断する材料が"運が悪すぎる過去"なのである。

これがなかなか厄介で『もしまた新しい職場でも毎日怒鳴られたら』『もしまたミスするたび一切の仕事を取り上げられたら』『もしまたひとつたりともミスするなと言われたら』『もしまた労災隠しさせれたら』『もし…』『もし…』…未来を判断する材料が悪すぎる。傷んだ材料で美味しい料理を作るのが難しいように。

悪い過去が先へ進む力を遮る。それはまるでボートを繋ぐ碇のように私が先へ進もうとするのを躊躇させている。今の私は碇で繋がれたボートなのかもしれない。

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