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【読書感想文】血の重さ甘さ⭐︎山田詠美「肌馬の系譜」を読んだ

山田詠美氏は尊敬する人の一人です。
10代の頃からファンで、
本が出される度に喜び勇んで
購入しておりました。が、
わたくし、引越しの多い人生でして、
大好きな彼女の本が都度紛失するため、やめました。

この度「肌馬の系譜」を発見、
発行年月日を確認したら
2023年10月20日
一年経ってない!
山田詠美氏が好きと言いつつ文芸雑誌は手に取らないので、
「現在進行形で書いている!新作が読める!」
と知り、とても嬉しいのでした!

文体が好き。
文を書く時の手本は山田詠美氏の文章、のため、
新作はもちろん、過去作品もまた
自分の年齢が変わると受け取り方も変わる、
と何度もスルメイカをしゃぶるかのごとく、
読んでいます。

今作品は短編集となっています。
どれもそれぞれの意味で良かったのですが、
好きだったのは
「時には父母のない子のように」
です。

山田詠美氏の家族ものは、
ぞくっとします。

切りたいのに切りたくない切れない
血の重さ甘さ、
各々の心情の複雑さが絡まり合うさまを
えぐる、ように描ききる。
かっこいい!

友人に勧めた時、
「緻密すぎて、うっとなった。
ちゃんと最後まで読んだけど」
みたいな感想を言われました。
(その友人は、幼い頃からDVを受け続け、
それでも親を許そうと頑張り生きていた人でした、病気で急死してしまいましたが)

毒にも薬にもならない、の真逆を地でいく。
それは
毒か薬か。飲んでもわからない、レベルかも。

「時には父母のない子のように」は、
エッセイのような印象。
それは「ある」が前提な訳
というフレーズになるほど!と思う。
すごいなぁ。


最後までお読み頂きありがとうございました。

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