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読書ログ-"からまる毎日のほぐし方"を読んで

30代になり、結婚や不妊治療、キャリアなど盛大に絡まりながら日々を過ごしています。20代の時には考えたことがないような漠然とした「将来への不安」を抱えているし、結婚生活とキャリアが絡まり、ほどけない時もある。アラサーは難しいと忙しい・・・
そんな時に出会ったのがこちらの本です。

本との出会い

音声配信サービスVoicyのパーソナリティをされている著者の尾石晴さん。
Voicyの配信を聞いて新刊が発売されることを知りました。

アラサーの渦の中を絡まり続けている私ですが、ふと「私より先輩のミドルエイジはどんな気持ちで、どんなことを考えて、からまる毎日を過ごしているんだろう」という興味が湧きました。少し先を走っている先輩の頭の中を覗くことができれば、これから待ち構えているであろう絡まりに対して、早め準備することができるんじゃないか。

そう考えて、この本を購入しました。

キャリアと生き方にからまる

「先送りにすればするほど、何度も姿を変えてやってくる」

からまる毎日のほぐし方 p.54

看護師 4年目を境に自分のキャリアと生き方について、その後、何年も絡まりを抱えていました。
初めは絡まりに気づかず、しこりようなものでしたが、それを放置していくにつれて、無視できないくらいの大きさになってしまった。
そして、それは時折大きな問題をつれて私の前に現れる。

この章を読んで、私はこれまでキャリアと生き方に対する意思決定を先送りにしていたんだと気づけました。これらは互いに絡まりあっているからこそ、その場しのぎの対処では解決しない。アラサーになり、その意味がやっと理解できます。

正直、また数年後に絡まりそうだな〜と思いますが、この絡まりはすぐに解きほぐさなくてもいい。時間をかけて一つずつクリアしていけばいいこともこの数年で学んだ。
大事なことは、絡まりを無視しないことと絡まりをほぐすような小さなアクションを起こし続けること。

「時間とともに、周りの環境は必ず変わり、同じ現状は続かないということ。」

からまる毎日のほぐし方 p.60

「私ばっかり!」にからまる

この本で一番好きな章。この章では、息子さん2人の個人懇談日が被ってしまい、長男くんの個別懇談には晴さんが、次男くんの個別懇談には晴さんの夫さんが行ったということが書かれています。

子育ては大変だな〜と思いながら読み進めていたが、この部分が私の琴線に触れ、なぜだか涙が止まらなくなってしまいました。

「夫は個別懇談の帰りに校庭をぐるっと回って、次男が大事に育てているというトマトの鉢まで見てきたそうだ。校庭に立ちながら、何を感じたのだろうか。」

からまる毎日のほぐし方 p.121

晴さんの夫さんは多忙を極める仕事のため、これまでの家事育児をほぼワンオペで担ってきたことを知っていたので、(書いてはいませんが)ここまでたどり着くのにどれほどの苦労や葛藤があったんだろうかと想像を巡らせた。

私は現在不妊治療をしているのですが、「なんで私ばっかり!」と湧き上がる感情があり、度々ぶつかる。ぶつかりながら、何度も夫と向き合い、少しずつ夫の行動が変わってきた時期に読んだため、自分の状況が重なって見えた。

晴さんの夫さんは何を感じたのだろう。
何事にも当事者になるタイミングが夫婦でずれることがある。ずれることは仕方がない。ずれた時に「では、どうする?」と考えること。それが大事なように感じました。
夫婦は長い。今この瞬間に変わることを求めずに、長い目を見て、良い方向に2人で歩いていけるように、向き合い続けることをやめないでいよう。

モヤモヤに耐えれないにからまる

わかる!わかる!!と思って読んだ章。
現代はコンテンツが溢れすぎていて、何かとコスパやタイパを重視する風潮がありますよね。無駄を省きたいという気持ちには私も共感できますが、一方で人生には無駄なことや、今は意味がわからないことが大事だったりすると思っていたので、とても共感しました。

昔の私はとにかく白黒はっきりさせたいという性格でしたが、歳を重ねて、最近ではグレーも許せるようになってきた。
グレーの中に潜むあらゆる可能性。今の自分では気づけないが光る原石のようなものが眠っているようだと思う。そう思えたのは、過去に「面倒だな」「なぜ私がやらなくてはいけないんだ」と思っていた仕事が、自分の血肉になっていると気づいた頃からだった。

「これには意味があるのか」「自分にメリットがあるのか」といった損得勘定で全ての物事を測ることをやめたい。無意味なものなんてなくて、それは単純に私がわたしの色眼鏡で見ているだけだろう。
わかりにくいことを受け入れる。そして、それがいつか何かの種になるよう、将来の自分が答えあわせできるように、日々を過ごしていきたいと思う。

おわりに

一見うまくいっているように見える人たちでも、皆それぞれ色々なことに絡まっている。私だけじゃないんだ!と思えたと同時に、晴さんもからまるのか!と著者に親近感を覚えた。

からまること自体は悪いことではない。むしろからまること、そして解きほぐすことこそ人生かもしれない。からまりが一つもなく、全て思い通りの人生は想像以上に寂しいものだろうから。

私はこの先、沢山のからまりに出会うと思う。そして、そのたびにこの本に戻ってくるような気がする。本棚にそっとしまっておく。

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