2024.9.25(水)発売予定 『からまる毎日のほぐし方』
2024年9月に6作目新刊が扶桑社さんから出ます。初のエッセイ本です。
今回の本は、初のエッセイ本ということで、初めてであるがゆえの、生みの苦しみもありました。本作は、普段はなかなか表に出さないような、家族とのやりとり、日々の出来事、Voicyでは収録しないような話を入れています。私なりの〝からまり〟をほぐすヒントを詰めこんだ、手作りクッキーが詰まった缶のような本となりました。
昨年からゆっくり準備していたのですが、気づけば、あっという間に締め切り、初稿、再稿!発売日が見えてきた!という感じです。表紙も書名も素敵に仕上がってきたので、皆さんに早くお届けしたいと、ワクワクしています。
今回は、事前に同世代女性に読んでもらい、数名に感想を聞いたところ、こんな反応が返ってきました。
私としては、いままで明かしてないプライベートな話、前向きではない自分も正直に綴っていて、気恥ずかしい部分もありますが、「みんなどこかで何かにからまってるんだよね」と共感いただけると嬉しいです。
9月25日(水)の発売まで、少しお時間がありますが、「はじめに」を公開しますので、どうぞ読んでみてください。読んでみて、惹かれるものがあれば、Amazonなども予約が始まっていますので、ご予約くださると嬉しいです(事前予約数にて最終刷り部数が変わる、という大人の事情もあります、小声)。
なお、事前にご予約いただいた方には特典がありますので、このnoteの最後をご確認いただき、ぜひ特典をもらってください。
では、どうぞ。
「はじめに」を大公開!
私は40代に入ってから、様々なものにからまるようになった。
仕事、お金、子育て、人付き合い、今後の人生......。
1つ1つであれば対処できるけれど、2つ3つと同時にからむことが増えると、どうしていいのかわからず、フリーズするようになった。子どものスケジュールと勤務時間、転職と住む場所、自分のキャリアと夫のキャリア、生活費の負担とやりたいことにかかる費用、足りない時間と衰える体力......。
20代の頃には感じなかったが、ミドルエイジという年代は、担っている複数の役割と、家族の都合と、加齢によるこれまでと違う自分、がミルフィーユのように重なり合って、人生を複雑にしていく。この30年代半ばから50代くらいまでのミドルエイジは、人の一生で最も悩みが多い時期と言えるのではないだろうか。若者でもなく、かといって年寄りでもない年代。若い頃のように無限の可能性があるわけでもなく、おおよその天井が見えてきて、人生の方向性も決まりつつある年代。
同じミドルエイジ同士でも、20代から選んできた多くの選択の結果、生き方、働き方、家族形態は大きく分かれてしまう。私は子どもがいる夫婦共働き組だが、人によっては、私とは違う選択の積み重ねの結果、まったく別の場所にいるだろう。しかし、両者の間には理解できない川が流れているわけではなく、お互い、ミドルエイジという共通項で、大きく見れば、みんなそれぞれの人生における〝からまり〟を抱えている。
ミドルエイジになった私は、そういった仕事・家族・自分のミルフィーユに挟まれて、自分の「好き」や「やりたい」を見失いかけていた。そんな私に転機をもたらしたのは、意外なことに〝片付け〟であった。第2子が生まれた頃、私は仕事もキャリアも中盤を迎え、岐路に立っていた。昇進試験、転勤、キャリアパス......様々な選択肢が頭をよぎるが、どれも日々の生活、夫のキャリア、子どもの進路と照らし合わせると、現実感が持てなかった。どれを取ってもどれかを調整する必要があり、その調整を考えると、頭の中がこんがらがる。からまる。
そんなモヤモヤを抱えていたある日、私は〝片付け〟の資格取得を決意する。頭の中もこんがらがっているが、家の中もこんがらがっていたからだ。家族が増える、子どもが生まれる、人が増えれば家の中に物があふれ散らかる。自分一人であれば、置くものを選び、管理できるため、物が散らかることはないのだが、自分以外の他者との生活では、私の意志に関係なく、多様な物が自宅に入ってくる。片付けても片付けても、自分の意思だけではどうにもならない物の量と、どこに何を置きたいといった家人の習慣にフリーズしてしまう。まるでミドルエイジの人生のようだ。
単純に、自分の手で自宅をキレイに維持したいという動機であったが、私は、1年近くかけて片付けの資格を手にした。学んでいるうちに、目に見える物の〝片付け〟は、実は、私のこんがらがっていた頭の中の〝片付け〟に効くと気づいた。片づけの手法は、単なる物の整理術にとどまらず、私の人生を見直すヒントを与えてくれた。特に印象に残っているのが、「からまり(片付かない状態)をほぐす方法」だ。
全て出す→選ぶ→戻す→維持する
このシンプルなステップは、目に見える物だけでなく、目に見えない〝思考〟や〝感情〟にも応用できることに気づいた。片付けを通して得た「からまりをほぐす」方法は、私の人生のおける仕事や人間関係など、あらゆる場面の〝からまり〟をほぐしてくれた。これまで漠然としていた、自分にとって本当に大切なもの、自分がやりたいことが分かってきた。自分にとって必要なものだけを選べるというのは、自分の大事なことに集中することだ。自分の大事なことに集中できれば、自分らしい人生を歩むことができるようになる。
私はVoicyという音声メディアで、2019年ごろから、ミドルエイジの働き子持ち会社員として、さまざまな毎日の〝からまり〟とその解き方やほぐし方を音声配信してきた。私はずっと、色んなことにからまっている当事者であり、それを〝ほぐす〟ポイントを見つけるべく模索していた。毎日毎日、声に出して、その〝からまり〟や気づきを配信する中で、年月が経つにつれて、私が抱えていた〝からまり〟は、少しずつ解けていった。なぜか? それはきっと、私は自分の〝からまり〟を話すことで、その〝からまり〟が自分から外に出せるようになり、それを客観的に見て、自分にとって大事なことを選び、戻し、維持できるようになったからだと思う。
長年、音声配信をやってきて感じているのは、費やした時間は、結果的に自分の思考の片付けになっていたということだ。毎日毎日、何年も話しているうちに、気づけば、私の頭の中にあった〝からまり〟は解けていった。現在の私は、2019年の私と比べて、職業も働き方もやりたいことも変わってしまっている。自分の大事なことに、集中できるようになったのだろう。
2019年の私は、フルタイム勤務の会社員で、保育園と職場を行ったり来たりする日々だった。仕事も好きだったので、こういう人生もいいと思っていた。しかし、2024年の今は、会社を辞めて、自分で会社を起こし同年代女性の健康に役立つモノをつくったり、文章を書いたり、音声発信をしたり、大学院に通って研究したりしている。今も、もちろん今なりに、からまっていることはあるが、2019年当時に感じていたような、私の人生や生き方そのものに関係するような、大きな〝からまり〟は消えてしまった。
私の場合は、片付けで得た思考法と毎日の音声配信が、結果的に私の〝からまり〟をほぐすことにつながった。あなたは何に、今からまっているだろうか。この本がその〝からまり〟に気付く、ほぐす、きっかけになるかも しれないと思って、私はこの本を書いている。この本はエッセイだ。ビジネス書や自己啓発本のように、「こうやったら、あなたの〝からまり〟がほぐせます」ということは書いていない。すべては、私の体験、私が考えたこと、私が感じたことをふまえて、私の〝からまり〟について書いている。それらは、ほどけてしまったものもあるし、まだ、ほどけかかっているものもある。
私も現在進行形のミドルエイジ当事者なので、偉そうにアドバイスできる立場ではない。そのため、こうしたらいいですよ、という指南をしたいわけでもないし、そんなおこがましいことは書けない。それでも、あなたが、もし人生でからまってることがあるのであれば、「こういう一例もある」「こういった考え方もある」という、この本に散りばめたエッセンスが、その〝からまり〟をほどくヒントになればいいな、と心から思っている。
では、そろそろ始めましょう。
ようこそ、『からまる毎日のほぐし方』へ。
今後は、発売記念のインスタライブやVoicyライブも企画しています(皆さんの”からまり”QA相談や書籍の制作裏話など)。Voicyとインスタをフォローいただくと通知がいくので、よかったらフォローしてください。
書籍は売れないと次に書く機会が来ないので、いつも「これが最後かもしれない」と思って書いています(出版業界は厳しいのよ)。最後になっても悔いが残らないように全力で書いた「からまる毎日のほぐし方」。どうぞ、9月25日(水)、お会いできることを楽しみにしています。
尾石晴
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