【やる気に満ちた若手公務員向け】長く安全に働き続けるためには

 私は公務員として、地方機関と本庁で働いてきましたが、そのうえで、とくに真面目な方、意欲に燃えている方向けに、少しネガティブな内容にはなってしまいますが、私なりの長く安全に働くための注意点をお話しします。

自分を犠牲にしないこと
 これに尽きます。人間関係をよくしようとして、愛想よく振舞ったり、過度に上司に忖度したり、進んで仕事を行ったりしてはいけません。私の経験から申しますと、地方機関においてはそのようにふるまっていても、まだ仕事が通常量ですのでキャパが超えることはありません。しかし、本庁の激務部署などに配属されてもなお、このような働き方をしていると、自然につぶれてしまいます。
 言いたいことはわかります。俺はそんな低次元なレベルの人間ではない。そんな低レベルな公務員生活は嫌だし、積極的に施策立案をして、住民の方に貢献したいんだ。わかります。私もそう思っていました。でも、それを地でいくと身の破滅を招きます。同僚というのはいい人ばかりとは限りません。少しでも自分の仕事や責任を、だれかに押し付けてやろう、こうやって目を光らせている職員はたくさんいます。
 そりゃそうですよ。たくさん働いても、だらけても、給料は同じですから。
 あなたのようなキラキラしたフレッシュマンは、いの一番にそういった人々の餌食にされてしまいます。(私がそうでした)気を付けてください。(またそういった性質をもった人が上司にいる場合は特に警戒して、必要以上に忖度してはいけません→こいつは使えるやつ、と思われたが最後、これみよがしにこき使われます。(給料はその辺でのんびりしている職員と一緒です))

【そんな低レベルな働き方は嫌だ】
 残念ながら、このように常に警戒しながら、最低限の義務を淡々とこなすしかこの組織で生き残るすべはありません。
 もし、高い理想があって、よりよい公共政策を実現したい、と思うなら、役所を出て、外部から働きかけましょう。役所という組織は内部の意見よりも、外部の意見が優先されやすい組織です。

【役所の施策立案】
 行政からの立案は基本的には当たり障りのない、すでに効果が確実と思われるものしか基本的にはないです。(もちろん、首長のリーダーシップで・・というのはあります。) つまり、あなたが革新的なアイディアを持っていてそれを役所で実現しようとしても、よっぽど必要性がない限り却下されることが多いです。
 施策立案をするためには、業者との連携、上司への説明(一人一人。根拠立てて論理的に説明しても、好き嫌いで却下されること多し)、職員団体との交渉、民間有力団体との交渉、幹部、首長への交渉と、本当に幾重もの障壁を乗り越えていかなければなりません。(民間の場合は利益が見込まれる事業はその論拠が明確であれば比較的スムーズに実行できると思います。役所は利益だけではないところがみそです)
 仮にすべての障壁を超えたとしても、私の経験上、このように障壁をくぐっているうちに、施策は自分のそれからは原型をとどめないほどにボコボコにされ、「こんなはずじゃなかったんだけどなあ・・」と思いながら施行すると、案の定、施行先からはクレームの嵐がやってくる、ということになります。(それに対応するのは、担当者であるあなたです)↑私の経験上の話です。すべてがこうとは限りません
 また、そのようなことをしている間にも、通常業務はどんどんたまっていきます。ですから、施策立案には消極的になった方が身のためです。(施策立案が「業務」である部署であってもです。)

〇(ちょっとした例外)地方機関
 地方機関ができることは限られています。本庁が制定した制度を、来庁される住民の方に適応させて、住民の方を満足させる、これが私が最初の三年間行ってきた業務でした。
 住民対応については、真摯に丁寧に対応しても、自分が犠牲になることは(私の経験上)ありません。なぜなら、こちらができることは限られており、仮にそれに対して住民の方からクレームがあったとしても、本庁のせいにできるからです。できること、できないことが明確ですから、それを前提として、それではどういった制度がその方にとって一番満足のいくものになるのか、真摯かつ丁寧に対応することができ、過剰要求に対してはきっぱりと断ることができます。(ただこれができない方は同じくつぶれてしまいます。)
 ただし、他の同僚からの仕事のなすりつけに警戒することは本庁と同じく必要です。積極性はあくまで住民の方との関係で発揮しましょう。

〇最後に
 以上、少しネガティブなことを書いてしまいましたが、特にやる気に満ちて役所で勤務している(今から勤務する)若い方、私の苦い経験からくる忠告ですので、すこし心の隅にとどめておいてみてください。低レベルだと感じるかもしれませんが、自分がメンタル不調にならないための大切な技です。
 ただ、やる気に満ちて、お客様のためにより良いサービスを提供しようという積極的な志は、どうか心の中で持ち続けてほしいです。それは、役所で勤め続けるのならば自分が上役になったときに「ちょっとだけ」発揮できるかもしれませんし(上には上がいますから、「ちょっとだけ」)、こういった志は本来ならば評価されるべきものだからです。残念ながら、現状の役所ではあまり見せない方がよいものとなってしまっています。悲しいですね。
 
 ちなみに私は上役になるまで待てないので、どこかのタイミングで離脱します。
 

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