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2023年12月読了本・報告ポスト備忘録

※注意※

 この記事は12月に私がX(旧Twitter)に投稿した読了ポストに加筆・修正を加えたものとなります。ご了承ください。

はじめに

 おっと年末年始は忙しすぎて完全に忘れておりました。何読んだか振り返っていきましょう。


『燃えよ剣 (上)』

著者:司馬 遼太郎
出版社・レーベル:新潮文庫
読了ポスト日:12月6日

 上巻のみで500ページ。しかもかなり昔の頃に出てるやつだからもう少し手こずるかな? という予想に反して思いの外スラスラと読めた。地の文の語りのテンポが良かったからかもしれない。そんでもって区切り方も凄い。下巻の展開を匂わせてくるところも多々あって、どういう結末になるかは何となく分かっているが、どのような盛り上がりを見せてくるかがとても気になる。

『燃えよ剣 (下)』

著者:司馬 遼太郎
出版社・レーベル:新潮文庫
読了ポスト日:12月11日

 ただひたすらに辛い。何が辛いってさ、終盤につれて皆いなくなってしまうんだよ。別れの場面はあっさりしているはずなのにここまでいなくなることに悲壮感を抱いた作品はそう無いと思う。あの描写以上に深く書かれてたら再起不能になったかもしれない。ラストに向かうまでの"在り方"とか芯が最後までしっかり通っていてサッパリとした風味もあった。だけどどこか寂しさもあって……うん、やっぱり辛い。

『グッバイ宣言』

著者:三月 みどり
イラスト:アルセチカ
原作・監修:Chinozo

出版社・レーベル:MF文庫J
読了ポスト日:12月12日

 良い話だった……。内容としては些細な学園もの。だけどもそこに漂う現実感と創作らしい甘酸っぱいスパイスがほどよいバランスで素晴らしい青春だった。特に第4章後半からの盛り上げ方が凄く良くて人がいないところで読んでたら普通に泣いてたかもしれない。原曲の歌詞の解釈が斜め上ながらも素晴らしかった。これは語彙力溶ける。

『対談 日本の文学 作家の肖像』

編者:中央公論新社
出版社・レーベル:中公文庫
読了ポスト日:12月14日

 今回は前回2冊から一歩身を引いた視点での対談集。複数人まとめて話すこともあったりと、また違った感触があった。女流作家の話題もふんだんにあったりしたのが印象的。また、終盤の方の対談に「文士から作家へ……」という文言も見て時代が現代に近づいてきたという感触と短くも濃い近代文学の歴史に区切りがついたようなきもして悲しくもあった。

『平安のステキな! 女性作家たち』

著者:川村 裕子
イラスト:早川 圭子

出版社・レーベル:岩波ジュニア新書
読了ポスト日:12月15日

 平安時代の生活すら知らない状態で読んだけど当時の常識も織り交ぜて語られていたのでとても読みやすかった。知らない文化も現代に置き換えていたのも大きかったかも。人物の話オンリーではなく、作品もガッツリ搦めて興味を引くのも面白い書き方だなと思うと共に、作家の人生あってこその作品・作風なのだということを再認識させられた。平安時代はそういうのが色濃く出る形態の物語が多いから猶更。

『スパイ教室 短編集01 花嫁ロワイヤル』

著者:竹町
イラスト:トマリ

出版社・レーベル:ファンタジア文庫
読了ポスト日:12月18日

 短編集なのに大まかなストーリーがあるように見えて最初「?」となったけど、短編集であり1つのエピソードでもあるという不思議な構図だった。どちらと見做しても違和感ないの凄い。本編ではシリアスにならざるを得ないからどこかピリピリしたものがあったけど、今回は日常全振りだったからそういうの無しで全力で楽しそうで皆少女なんだなと感じた。日常でも成長を感じられるところもあって確かにここはチームであるとともに教室なんだなということを痛感した。

『アンデットアンラック 不揃いなユニオンの日常』

原作:戸塚 慶文
ノベライズ:平林 佐和子
出版社・レーベル:JUMP J BOOKS
読了ポスト日:新規
読了日:12月18日

 アニメで作品の良さが分かってきて気が付いたら購入していた。やっぱり普段シリアス成分濃い目の作品の日常回は良い清涼剤だ。女性陣の女子力が全員もれなく天元突破しているところあとても好き。マジでこれ誇張じゃない。私はアニメ勢だったのでここで初めて知る情報がかなり多く軽い文体のサクッとした内容のはずなのに情報量で頭を殴られるという奇妙な現象に陥ってしまった。今度はアニメ終わってから再読して全力で楽しむことに集中したい。

『更級日記』

著者:菅原孝標女
現代語訳:江國 香織

出版社・レーベル:河出文庫
読了ポスト日:12月19日

 買った時に「思ってたよりも短い」というイメージが凄く強かったけど、幼少期から晩年(?)まで余すことなく書かれていたのが印象的。回想録形式とはいえここまでコンパクトに、だけど濃厚にまとめられているのは凄い。これ抜粋じゃなくて全文なんだよね? と確認してしまいたくなる。また、和歌を詠んで使いに届けさせる文化が印象的だった。遠い距離のこともあるから、使いの皆様お疲れ様ですという気分になった。

『風土記から見る日本列島の古代史 』

著者:瀧音 能之
出版社・レーベル:平凡社新書
読了ポスト日:12月21日

 『風土記』そのものの内容というよりかはそれを元に古代日本を推測するという側面が強かった。一見特殊な着眼点のようだけど、同時期に書かれた書物は上の立場側のものが多いから、庶民側や地方にも目を向けるならば妥当な発想だと思った。些細な日常が見て取れることも多く、当時の編纂者の方々がどういう風に編集していたのかなと思いを馳せるようになった。

『勇者殺しの花嫁 I - 血溜まりの英雄 -』

著者:葵依 幸
イラスト:Enji
出版社・レーベル:HJ文庫
読了ポスト日:新規
読了日:12月22日

 序盤から振り切った系ダークファンタジー。でも胸糞の悪さばかりではなくスッキリできるポイントも複数用意されているため、味わい深いビターチョコレートを連想させる味わい。バランスのがしっかりと保たれているから血なまぐささや世知辛さとは裏腹に読んでてワクワクさせられた。主人公のモノローグと台詞の密着具合がとても密接で、これだけでも作品を薦める理由になる。一人称視点の小説の新しい形が垣間見えた。

 長編レビューも書いています。よろしければ是非……。


『死亡遊戯で飯を食う。 5』

著者:鵜飼 有志
イラスト:ねこめたる

出版社・レーベル:MF文庫J
読了ポスト日:12月26日

 修行パートも想像の2倍楽しめたし、ゲームに合わせた正々堂々としたバトルスタイルといった目新しい要素はたくさんあったが、そうそう『死亡遊戯』ってこういう世界観だったよという巻だった。師匠って偉大なんだな。衝撃のラストからの衝撃のラストを膝に受けてしまったこともあって未だにこの本が250ページしかないという事実を受け止めきれない自分がいる。ページ数もかかった時間もいつもと変わらなかったはずなのに。

 こちらはどんな話か気になった方向けです。

『佐々木とピーちゃん 異世界でスローライフを楽しもうとしたら、現代で異能バトルに巻き込まれた件 ~魔法少女がアップを始めたようです~』

著者:ぶんころり
イラスト:カントク

出版社・レーベル:MF文庫J(新文芸)
読了ポスト日:12月27日

 雰囲気的にほのぼの系だろうな~と思いきや文章量が凄かった。でも最初から最後までほのぼのした空気感があって、更には盛り上がる場面も多くて期待以上だった。全く世界観の違う異世界ものと異能バトルものの繋げ方が自然で読んでてめっちゃ感嘆した。酸いも甘いも嚙分けた佐々木さんのモノローグが癖になる。あと定期的に「ピーちゃん可愛い」が挿入されているのがツボ。やはりペットの可愛さには勝てない。

『文豪ストレイドッグス 太宰を拾った日』

著者:朝霧 カフカ
イラスト:春河35

出版社・レーベル:角川ビーンズ文庫
読了ポスト日:12月28日

 いつかこの日(映画特典が文庫本で出版される日)がくると信じて敢えて情報を入れすぎないようにしたかいがあった。ありがとうございます。感謝の言葉しか出ません。オマケ短編のはずなのに込められた思いの密度が半端なかった。sideA,B共に扱ってるテーマは同じなんだけど話の進み方に引っかかると思いきやの最後……そーいうとこですよ。そんでもって最後の1文。あそこで心臓止まるかと思いましたよ。

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さいごに

 12月は難しめの本が多く冊数で言えば11月に劣るが、その代わり面白い作品にも出会えた。いうなれば量より質な月だったのかもしれない。それにしても年末の追い上げは何だったんだろう。note記事も結構な頻度で書いてたし。あの頃の私、めっちゃ元気だな……。来月はプライベートが忙しく、読了もnoteも少し大人しめになりそうです。

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