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HJ文庫レビュー 『リピート・ヴァイス1 ~悪役貴族は死にたくないので四天王になるのをやめました~』
はじめに
さてさて、今月もこの季節がやってまいりました。そう、HJ文庫のレビューのお時間です。ついに参加させている期間の折り返しが過ぎた辺りにやってまいりました。2月の日数が少ないからなのか、はたまた偶然そうなったのか私の気のせいかは分からないのですが今月は本が届くのがやたらと速くてびっくりしてしまいました。お陰様でゆっくりと準備することができました。
もう片方の作品もそうなのですが今月の新作は小説では私が普段中々触れてこなかった題材が主軸に置かれているため普段以上に楽しまさせていただきました。それでは前置きはここまでにいたしまして、今回は『リピート・ヴァイス1 ~悪役貴族は死にたくないので四天王になるのをやめました~』のレビューを行っていきます。
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あらすじ
貴族の家で育ったローファス・レイ・ライトレスは2つの夢を見る。1つはある主人公達が繰り広げる長い長い物語。その中には未来の自分もいた。序盤の方のパッとしない悪役として。もう1つは先ほどの主人公達に幾度となく殺される夢だ。あとの身に覚えのない重税等ひどい暴言も吐かれる。
そんな紛れもない悪夢を見たローファスはあまりにも悲惨すぎる未来を回避するために重税の冤罪の謎について調査を行うのだった。
レビュータイム
レビュー① ゲームシナリオ改変もの! でも1癖も2癖もある。
この話は類似作品と比べて、転生ものというよりもゲームのシナリオ改変ものという側面の方が濃く感じました(詳細は後述)。実は私この手のゲームシナリオ改変ものはアニメでしか見たことが無くて小説で触れるのは初めてだったりします。閑話休題。
そういった改変ものの例に漏れず第1巻となる本作ではゲーム本編開始の少し前の時系列から物語が始まります。とは言っても数年の間が空いている訳ですからシナリオの知識が必ず訳に立つとは限りません。本来と違うところも沢山あってハラハラしますし、違うと思いきや実は1捻り入っていたなんてこともあったりします。
また、こちらもこの手の物語のお約束に違わず本来用意されていたシナリオとは別の道を辿ることになるのですが、この作品では本来のシナリオとの擦り合わせもあったりします。終盤かつかなり独自のもののように感じたのでここでの言及は控えますが、抽象的に言うなれば世界そのものが動いていくタイプの話が好きな人はこの話が刺さるのではないかと……。
レビュー② ダーク系戦闘が心を刺激する!
いやぁ~戦闘シーン、滅茶苦茶痺れました。これがまだ第1巻の内容だと信じられないレベルでスケールが大きかったです。いきなりデカブツ系モンスターとの戦闘がやって来て「勝てるのかこれ⁈」と心臓が早鐘を打ちました。しかしそれも杞憂に終わってしまいそうなぐらいローファスが強い。でも戦闘がすんなり終わらず一進一退になる。これが最終決戦じゃないって本当ですか⁈
これが序盤のチョイ役の敵だったのならラスボスは一体どんな強さになるんだろう? という途方もない考えが頭を廻りました。
また、タイトルや将来彼に付けられる二つ名に相応しいローファスの闇属性魔法も必見です。闇属性らしい禍々しさも兼ね備えつつもカッコよさが勝る技も多いです。
あと個人的にはローファスの執事であるカルロスさんもお気に入りだったりします。カラーイラストからでも分かる強者の佇まい。そんでもって戦闘できる執事ってなんか色々とズルくないですか?
レビュー③ 転生はしてないのです、転生は
さてここで先ほど言葉を濁した部分について今一度触れていきましょう。私が今までアニメで見てきたシナリオ改変系の話は偶然にも「主人公が前世でプレイしていたゲームのあまり良い扱いとは言えないポジションに転生してしまっていた」ということが殆どでした。この作品でも大まかな部分は当てはまります。しかし前半部分の要素は全くないのです。ローファスはあくまでも夢でシナリオ(或いは将来図)を見ただけで転生はしていません。
ということもあって彼のモノローグの端々には生粋の貴族らしい発想や言い回しが多くみられます。決して優しいとは言えない刺々しいものではあるのですが、これがあるからこそ彼の行動原理が自分の未来のためだということがよりハッキリ伝わってくるように思われます。彼のしたことを客観視すると勘違いできない理由の方が少なかったりしますし。
こういった表現が帯で押している"勘違い"要素をプッシュしているのかなと感じました。
さいごに
まだまだ先は長そうな本作。1巻でここまでスケールが大きいとこの先どんな展開になってくのかいい意味で予想がつかないです。一体どこまで乖離していくのか。最後は何との戦いになっていくのか。本編時系列に追いつく時点でどこまで変化していくのか。というか純粋な原作も気になります。
1巻はプロローグという印象が強かったのでここからどう転がっていくかに期待です。
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