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HJ文庫レビュー 『クラスで一番かわいいギャルを餌付けしている話』

はじめに

 こんにちは、今月は報告したことをしっかり覚えていたので安心した心持でお知らせメールを受け取ることができました。ということで今月もレビューのお時間です。

 今月届いた新刊も2冊。月によってはないかもよ~的なことを最初に聞いたような気がするけどなんだかんだで殆どの月で2冊届いてるのは本当に凄いことだと思う。

 という訳で今回のレビューする本なのですが、これまた流行ってるらしいのは知ってるけど積極的に足を踏み入れてこなかったジャンル×2でした。本格的にラノベを読むようになってそれなりの時間が経過したが、こうしてみると私もまだまだなんだなぁと感じました。というか私の読んでるジャンルがあまりにも偏りすぎてるだけなのですが……反省。

 ということで今月のレビュー1本目は『クラスで一番かわいいギャルを餌付けしている話』です。3次元でも2次元でもギャルには中々出くわさない私(そもそもギャルの定義が分かってないのは内緒で)。果たしてどうなる事やら……。今気づいたんだけどHJのタイトルで「1」ってついてないの珍しい。


あらすじ

 休み時間には教室の隅でオタク仲間達と作品のトークを繰り広げる。風見鳳理かざみほうりはそんな身の丈に合った高校生活を送っていた。そのグループに定期的にカースト上位のギャルが絡んでくることを除けば。

 しかし鳳理には秘密があった。実は件のギャル、香月桜こうづきさくらとは同居人───しかも義理の兄妹のような関係兼恋人同士。更に桜は表には出さないがオタクである! 関係がバレないようにクラスでは他人の振りをしているが鳳理と話がしたい桜が喋りに来てるのだ。しかし家では2人で語りあったり、鳳理の手料理を食べたりするラブラブっぷり。

 この物語は、そんな2人の高校生活の1コマである。

レビュータイム

レビュー① ギャルと義妹と隠れオタク(同一人物)

 あらすじを読んで「どういう事だ!」と衝撃を受けた方も多いことでしょう。しかし本作のヒロイン桜は本当にギャルだし義妹だし実は隠れオタクなのです。人によってはタイトルではギャルって書いてあるのに帯のセリフは「お兄ちゃん」、でかなりびっくりする事でしょう。

 現実でもよく聞く属性、ギャル。最近ライトノベルで見かける義妹(ただの偶然かもしれないですけど最近色んな作品を読んでいると本当によく遭遇してるような気がします)。そして読者層と近しいであろうオタク。これらを全て同じ作品、否、同一人物に盛りに盛ったのがこの作品なのです。血が繋がっていてもいなくても一緒に深夜アニメ見てるのが凄く羨ましいです……。

レビュー② このくらいのクオリティが丁度いい

 さてそれではお次はタイトルにもある「餌付け」にまつわるお話になります。ちょっと小見出しのニュアンスがややこしくなってごめんなさい。

 これもあらすじに書いてある通りなのですが、この餌付けはただの餌付けではありません。"手料理"で餌付けしているのです。しかも、この手料理の調理過程がかなり丁寧め(注・普段料理しない人観)に仕上がってくるにつれて読んでいる我々もお腹が空いてきそうなほどに。ダメだ、煮物が食べたくなってきた。普段から誰かの為に料理をしている人ってこういった感じで作ってるのかな~と思いました。

 でもこの料理がプロ級の腕前か? と問われると少し悩みたくなる塩梅になるのがミソなのです。確かにおいしいと言ってもらえるのですが、あくまでも普通に暮らしている高校生の手の届く範囲の中ででの調理過程になっているのが日常っぽさがあって、個人的にとてもいいなと感じました。

レビュー③ でも、どこか日常を感じる

 突然ですが懺悔します。序盤を読んでいたときに「ヒロインがかわいいギャル。でも実は主人公と話の合うオタクで更に義理の兄妹で2人暮らし⁈ 色々と要素が多すぎて現実世界なのにファンタジー味が強いぞ!」と脳内で突っ込んでいました。情報が明かされた直後で混乱してたのも一因かもしれないのですけど、読むにつれて不思議とこういうツッコミ感はなくなってきます。

 純粋に状況に慣れてきて呑み込めるようになってきたからというのもあるのですが、やっぱり実際にこういう生活をしている2人がいたらどうなるのかというのをシュミレートして筋立てが組まれているので想像よりも現実感が強い仕上がりになっています。

 関係が分からないように2人で様々な工夫をしたりしている場面は、苦労もあるんだなぁとどこか微笑ましくなりました。

さいごに

 レビューは以上となります。いかがでしたでしょうか? 色々と「濃い」と感じることも多いかもしれない本作ですが情報開示や話の運びが丁寧に整えられているので序盤で感じていた以上にはいい感じに読めたかなと思いました。1対1の恋愛的ライフを求めている方はとても楽しめるのではないかと思います。日常描写もとても良かったのでそういう面でも勧められます。

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