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HJ文庫レビュー 『灰色の反逆者は黒猫と踊る 1.闘士と魔女』

はじめに

 お久しぶりです。細川 カヲルです。1か月の間お元気でしたか? 先月よりも寒くて思うように布団から出られません。ここ数か月は朝7時よりも前に起きた記憶が一切ございません。ずっとダメじゃん。

 関係ない前置きはここまでにして、無事、今月もレビュー対象の書籍が届きました! しかも今月は2冊ですよ2冊! なんたる大盤振る舞い。ジャンルもバラエティー豊かで楽しかったです。

今月の証拠写真です。

 というわけで早速レビューの方に参りましょうか。先に書くのは記事のタイトル通り、虹音 ゆいが『灰色の反逆者は黒猫と踊る』です。それでは行きましょう!


あらすじ

 レムディプス共和国──かの国では日夜魔獣との戦いが繰り広げられていた。それはいつしか防衛のに加えて娯楽としての側面も持つようになる。闘技場に闘士と魔獣を放ち戦わせる。この単純な娯楽はいつしか大きなビジネスとなり闘士の育成施設も作られるようになった。

 その施設の首席レーヴェ・メルヴェイアは自身のある体質の影響で日々に疑問を感じながらも研鑽を積んでいた。そんなある日、彼は闘技場で1人の少女と闘う。

 彼女の名はミィカ・ユリリィ。人でも魔獣でもない"魔女"として処されるはずだった。しかしレーヴェは全てを投げ出すかのように彼女を助けることを決意した。彼女は異端中の異端、魔女にして魔獣の声が聞こえる"灰色"、レーヴェの同族だったのだ。

レビュータイム

レビュー① 王道? 系ファンタジーが来たぞ!

 まず私が読んで思ったことは、昔ながらのハイファンタジーを軸にしているなということでしょうか。あらすじを見ておや? と首を傾げた方も多いかもしれません。ぶっちゃけこれに関しては私の主観が大きいと思われます。最近読んだ話が軒並みダーク寄りだったり絶望的な状態で次回に続く! とかだったのです……。だから爽やかさを見出していたのかもしれません。

 閑話休題、失礼しました。実の所、予想以上に爽やかなタッチだったのは、これらの状況を抜いても事実だと感じます。

 世界観を構築する歴史はややきな臭くも感じますが、少年少女の青春や活劇が中心となっていたり、何かが覆い隠されてるワクワク感はどこか少年漫画らしさを彷彿とさせます。

 また、闘技場での戦いって形式は違えどファンタジーでは王道展開の1つだったりしますし。歴史的に見ればコロッセオとかも? そういった意味でも斬新さを兼ね備えた王道ものなのかもしれません。

レビュー② 女の子がかわいい

 ふざけてるのかと思われますがこれだけは言わせて下さい、ガチです。見た目は勿論なんですけど台詞とか行動とかかわいい所がとても多かったんですよね。ふとした時に出てくる年相応の会話は必見です。純粋な日常会話のSSが読みたくなるぐらい。

 さっきもややダークめな世界観なのに爽快感があったというのも実は女の子の可愛さが影響していたりするかもしれません。実際、1巻ではこの彼女たちなりの何気ない日常が物語の鍵となっているといっても過言ではないかと。これは真面目にいってます。

 俯瞰して眺める会話も楽しいのですがやはり真骨頂はミィカのモノローグでしょうか? 彼女はその出自の特殊性も相まって一線を引いた状態でいることの多い彼女の心境は女の子らしさもありながら、時折普通の人間とは違うんだと思わされることもあります。魔女は人間じゃないというあまりピンとこないかもしれない設定が非常になじみやすくなっています。

レビュー③ 捻りながらもシンプルな戦闘スタイル

 バトルものと銘打たれている作品でバトルについて語らない訳には行きません! ということでここからはバトルシーンについて語っていきます。魔術と武器を組み合わせた戦闘スタイルの発想が豊かで読んでる途中興奮が止まりませんでした。かなりニッチなところでいうなればこの世界における弓の立ち位置でしょうか。魔術の存在が自然に受け入れられているかのような言いまわしなのも含めてとても印象に残っています。

 そんな独自性が強い戦闘スタイルも見物なのですが、個人的に注目したいのはその土台にある魔術の設定です。あまり凝った固有名詞は付けずルビ振りも英語。どちらかを読めば説明されずとも意味が伝わってくる。そうこれでもかと言っていいほどシンプルな構成なのです。呪文などの設定をどこまで詰めるかといったところは人それぞれですが、その中でもかなりシンプルな部類に入るのではないでしょうか。

 ですが、魔術等の部分がシンプルで分かりやすいからこそ、武器を交えた戦闘シーンが映えるのではないかと私は考えました。どちらも濃密にしすぎるとその設定を読み込むことに時間を掛けてしまうことも大いにあるでしょう。でも、このような設計にすることで戦闘シーンを目立たせるというのも1つの手なのかもしれないと本作を読んで感じました。

さいごに

 やろうと思えばいくらでも暗くできるであろう世界観。それでも少年漫画のような爽やかさを維持した本作。昔読んだような物語の雰囲気をラノベに落とし込んだような気を感じてしまいます。

 強いて1つ願望を付け加えるならば続刊の知らせが最後に無かったことでしょうか。これから何かが起こるだろうワクワク感がひしひしと伝わってきたので機会さえあればこの世界の話をもっと知りたいです。

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