予算累計66兆円超でも続く少子化 必要な対策、5000人独自調査 賃金・働き方に不満の声

・少子化が進み、厚労省が5日発表した23年の合計特殊出生率は過去最低を更新

・政府は94年から対策に66兆円を投入したが、出生率の反転には至っていない

・経済負担や仕事と育児の両立の難しさを障壁に、対策の見直しが求められている

 05年に1.26まで下がった出生率は、15年に一時は1.45まで回復したが、再び低下傾向にあり、出生数もエンゼルプランを策定した94年時点のおよそ124万人と比べて、23年は4割ほど少ない水準に落ち込んだ
 これまでの政策は、結婚して子どもが生まれた後の育児の支援が中心で、保育所の整備による待機児童の減少など一定の効果はあったものの、出生率の改善には至っていない
 日経新聞の独自調査では、結婚や子育ての壁として「経済的な負担」(71.3%)とともに「仕事との両立の難しさ」(62.3%)をあげる人が多かった
 「そもそも経済的な問題で結婚できない」(40代)と結婚そのものをためらう声もあり、調査では1割弱の人が「どのような施策でも産み育てたいと思えない」と答えた

【所感】

少子化対策の関連費用は、国の当初予算ベースで2022年度に6.1兆円と10年前からほぼ倍増し、こども庁は2023年度予算で少子化対策を含めて4.8兆円を計上。

さかのぼれる2004年度以降の予算総額66兆円超は、同じ時期の公共事業関係費(一般会計のみ)のおよそ半分に匹敵するという。

政府は児童手当の支給を続けるが、大和総研の是枝主任研究員からは「幅広い世帯への現金給付は出生率を上げる対策としては投入する財源に対する効果が低い」といった声があげられている。

お金がないと子育てが厳しいからと児童手当をばら撒き続けてみるものの、そもそもお金がないからと、「出産に踏み切れない」「結婚できない」など、それ以前の課題にあげられる声が大きくなってきたのは気のせいじゃないだろう。

では、なぜお金がなければ結婚や出産ができないという結論しか生まれないのだろうか。

その大きな要因の一つは、『自助努力』という言葉に濁され、学校教育では道徳の授業で諭される「他人に迷惑をかけてはいけない」考え方にあると思う。

「お客様は神様です」は、本来であれば店員側が戒めとして持っていた心構えを、顧客側が権利であるかのように振り翳し始めてしまったが、同様に、自身の戒めであった「他人に迷惑をかけてはいけない」を、他人にも求めてしまっているのではないか。

「人助けは当然するもの」で、かつ、「他人に迷惑をかけない」だったはず。

自分と他人の考え方に線引きできない人ばかりなうえ、どうせどこかでは他人に迷惑をかけているのだから、「迷惑はかけて良いもの」「かけられた迷惑は当然助けるもの」と考えたって悪くはない。

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