怪我をした後、痛みがなくなったら練習始めて良いの?
スポーツをしていると、残念ながら怪我をしてしまうこともあります。
アスレティックトレーナーが怪我のリハビリをして復帰のサポートをしてくれるというのは、現在の日本では稀なのが現状です。特に一般的な小中高生の部活動では。
では、怪我をした後の復帰のタイミングはどのように考えたら良いのでしょう?
怪我と復帰の考え方について、代表的な怪我である足首の捻挫を例に見ていきましょう。
1.痛くなければやって良い?
足首などを捻挫をした後に「痛みがなくなったらやって良いよ」みたいなことを言われたことはありませんか?経験ある方も結構多いんじゃないでしょうか?
痛みがなくなったら復帰したいですよね。
何なら少々痛いくらいならもうやっちゃおうかなぁと思う人も多いと思います。
実際に、まあまあしっかり捻挫した次の日に「歩けるからプレーできます。やって良いですか?」って言ってきたプロ選手もいます。
苦笑いしながら良い訳ないでしょって言ったことを覚えてます。笑
じゃここで問題なのは、何で良い訳ないのか?ですよね。
本人からすれば、痛いけど出来るし何でダメなの?って感じでした。苦笑
結論から言うと、「今できたとしても、後から苦労する可能性があるからやらないほうがいいよ」というのが理由だと思います。
では何故後から苦労するのか?をこの後解説します。
2.じゃいつやって良いの?
いわゆる足首の捻挫をした際に痛めている可能性があるのは筋肉や靭帯である可能性が高いです(もちろん全てではありませんが)。
足首の外くるぶしの前後が痛くなっていればそれら(筋肉や靭帯)に傷がついているかもしれません。
筋肉や靭帯に傷がついていた場合、ちゃんと処置をして、ある程度の期間が経つと再生します。この際に、怪我する前の元の強度までちゃんと治して、再生を完了させることがとても大事です。
下の画像は足首を捻挫した次の日に撮影したものです。
これくらい外くるぶしの後側に内出血が出た場合には、筋肉や靭帯が傷ついた可能性が高いです。それらがこれくらい傷ついた後、ある程度の強度でのリハビリを始められるくらいまでに再生するのに必要な期間は2〜3週間くらいと言われています。
-1痛みがなくなってから実際に復帰するまでのタイムラグ
「2〜3週も!?それくらいあったら痛みもだいぶなくなってきてるから、それからリハビリってちょっと大げさじゃない?」と思う方も多いかと思います。
確かに痛みが軽く走ったりできるようになってきた頃かも知れませんね。では復帰して問題ないでしょうか?……残念ながらまだ早い可能性が高いです。
-2痛みと治り具合の違い
下の表をご覧ください。受傷からの時間の経過に伴って、筋肉や靭帯に傷がついた後の痛みの感じ方と、再生して強度を取り戻していくまでの関係を表したものです。
痛みがなくなった頃というのは再生はまだ十分に完了していないみたいです。
筋肉や靭帯は再生する過程で、強度が低いもので仮止めするような過程をたどります。痛みがなくなってきた頃というのは仮止めができたくらいで、十分な強度を持っていないという認識でしょうか。
つまりこの、「とりあえず痛みが無くなった時期に復帰する」ということは、
→まだ仮止めの筋肉や靭帯に負荷が加わった場合、怪我する前より弱い状態の同じ場所をまた怪我してしまうリスクが高くなる。
ということです。
そしてさらに、こういった治るか治らないかの状態で再度怪我をすることで、カサブタみたいなもので欠損部分を補うことになります。
このカサブタみたいなものは、正常な筋肉や靭帯よりも伸びないうえに引っ張られる方向への強度が低いため、普段より低い負荷にも耐えられずに壊れてしまうことになってしまいます。
これがいわゆる「捻挫・肉離れは癖になる」ことの原因の一つだったりするわけです。
例えるなら接着剤を塗った場所が乾ききっていない内に動かしてしまうことに似ているのかも知れません。(厳密にはちょっと違うような気もしますがあくまでイメージです)
3週経った頃から、リハビリの強度を上げていって大体5〜6週で復帰というのが現実的なプランであると言えると思います。この辺はお医者さんとリハビリをしてくれる病院の人と十分に相談しましょう。
まとめ
①足首の捻挫をした時には筋肉や靭帯が傷ついている
②筋肉や靭帯は再生するけど歩けないくらいの捻挫では痛みがなくなるまでに2週間くらい必要※程度による
③痛みがなくなる頃はまだ再生は完了していなくて、仮止めくらい
④仮止め時期に頑張ってしまうとまた怪我をするリスクが高い
⑤リハビリをしっかりやって、5〜6週くらいが理想 ※これまた程度による
おおよそこのような内容で進んでいくものと認識しておくと良いかと思います。
とはいえスポーツ現場では色々な事情(大会やその選手の立場など)が介在してくることが多いので、監督・コーチ・医療関係者・選手本人と、それらを十分に話し合った上で復帰目標を定めていくことになります。
これを知った上でも復帰するべき事情があるのかどうかをしっかりと考えましょう。
それでは今日はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございました。
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