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映画感想: Paris Taxi を観て
1 第一印象
この映画を観て最初に思ったことは、90分という映画としては比較的短いにも拘わらず、92歳の女性マドレーヌの一生を、上手に描きまとめている点であった。
2 簡単な内容紹介
ある日パリの中年タクシー運転手のシャルルは、高齢者のための施設に入るこの女性を、ちょうど街の反対側まで送り届けることになった。20Km程度の道のりで、まともに行けば1時間もかからないはずであった。ところが、マドレーヌの希望により思い出の場所を次々と訪れることになった。その道すがら、運転手のシャルルに対し、マドレーヌの一生が語られた。
第二次世界大戦末期に父親がナチスに殺害され、その後連合国軍のアメリカ兵と恋仲になることなど、立ち寄る場所にちなんで次々にマドレーヌの思い出が語られた。そして、我々聴衆は彼女の驚くべき一生を知ることになる。
3 映画の印象4点
第一に、この映画を観て意外に思ったのは、マドレーヌが結婚した1950年代のフランスの女性の地位は驚くほど低いことだった。例えば夫の許可なくして働きに行ったり、銀行口座を開くことができなかったのである。フランスの女性の地位が向上したのは1965年頃からのことである。
2022年に公表されたWEF(世界経済フォーラム)の世界男女格差報告書によれば、フランスのジェンダーギャップ指数は146カ国中15位、EU内では5位である。(一方日本は146か国中116位である。)この現状を考えると、当時の意外な事実を我々は知って私は驚いた。
第二に、フランスと言えば、シャルル・アズナブールなど人生を歌った数多くのフランス語のシャンソンがあるにも拘わらず、この映画の中で使われた音楽は、すべてジャズ風の英語の歌であった。。しかし、タクシーの中からパリの街並みを見ながら、昔の思い出を語るのに、英語のジャズがどこかしっくり響いた。
第三に、マドレーヌは大声で泣いたりすることもなく、淡々と自らの一生を振り返り語ることであった。マドレーヌは既に人生を達観できるような心境になっていたのだろう。このように人生をどこか達観したような描き方は、随分前に見たフランス映画「マルセルの夏」「マルセルの城」を懐かしく思い出す。
最後に、この映画を観て、パリの名所めぐりを堪能したような満足した気持になった。そして、深刻な場面が多々あるにも拘わらず、どこか心に安らぎすら感じられる映画である。
4 映画についての参考資料
監督や俳優など、映画に関する基本的な情報は下記のHPを開いてみてください。
映画の公式HP
https://movies.shochiku.co.jp/paristaxi/
https://eiga.com/movie/98840/critic/
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