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少年野球⑧:キャプテンはつらいけど

キャプテンを引き継ぎ、そしてピッチャーまでやる。
息子がよもや、チームの中心として屋台骨を背負わされることになるとは、入団当時には思いもよらないことになった。

エース級2人が抜け、性格的にも個性派揃いの6年生と、ちょっと生意気だけど頼りになる5年生が集まる新生チームを、マウンドから、ファーストの守備位置から、時にはベンチから声を出し鼓舞し、投打に奮闘する。
キャプテンである以上、試合に負ければチームを代表し、監督コーチから怒られ役を引き受ける。
チームメイトの中には、下手なプレーを怒られ泣いてしまい、もう野球行くの嫌だと言って練習を休んでしまう子もいる一方で、けっこう理不尽なこと言われても飄々としていたから、パパに似ず嫌なこともうまく受け流せる性格なのかもしれない。
立場は人をつくる、とはよく言ったもので、得難い成長の機会を与えてもらったことに、親としてはただ感謝するのでありました。

勝敗はともかく、毎週津々浦々のグランドに行って様々なチームと試合して、いろいろな子のプレーを見るのは、実に楽しい。
時には、同じ小学6年生とはとても思えない体格の子(身長170cm超はごろごろいる)や、大谷翔平が小学生の頃はこんな感じだったのでは?と思わせるミライモンスターみたいな逸材に出会ったりもする。

幸運にも、あの侍ジャパン監督の息子さんがいるチームとの対戦もあった。
将来必ずプロになるであろう子のプレーは、一挙手一投足が完全にレべチ。当然のように特大の柵越えホームランを浴び(しかも木製バットで!)、全く勝負になりませんでした。。
プロのジュニアチームに選抜されたモンスター選手との対戦は他にも何度かあり、そのたびに校舎の屋上まで届く特大アーチを打たれたり、1本もヒット打てずに抑え込まれ終わったりもあった。
将来ドラフト会議を見て、あの時対戦した子が指名された!なんてことがあったらいいな、と思う。

そんな日々が毎週繰り返され、打って、打たれ、抑え、抑えられ。。
個々の試合で印象に残るプレーのシーンは多すぎて、正直よく覚えていない。
でも、最後の秋の市大会予選。初戦を快勝して迎えた2回戦。
幸先よく先制し、先発登板した息子が中盤までなんとか持ち堪え、リードして迎えた最終回の守り。
5年生の守護神が四球やヒットで走者を許し、一塁守備に回った息子が打球処理をもたつく間に同点のランナーが還り、そして逆転サヨナラ負け。。

この時初めて、息子が悔し涙を流した。

監督やコーチにどれだけ怒られても泣かなかった息子が、この時ばかりは、人目を憚らず泣いたのでした。。

掛けられる言葉は無かったけれど、よくやったぞ、キャプテン頑張った、一生懸命やったことに勝ちも負けも無い、と誇らしく思うのでした。


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