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愛おしい文豪
好きな作家は?と聞かれると
いつも反射的に谷崎潤一郎と答えている。
実際はそれほど傾倒して読んでいるわけでもなく
どちらかというと太宰の方が読む数は多い。
まあおそらく、痴人の愛が好きすぎるのが
私の根底にある谷崎愛の理由なのは明確だ
そもそも私は耽美派の作家が好きで
彼の書くマゾヒズム、残虐性、ロマン趣味、幻想趣味、エロティシズム、女性崇拝などの全てが私の嗜好と相性が良すぎるのだ。
それじゃあ何故読み漁らないかというと
単純に読みにくいからである。
谷崎先生の漢語や雅語から俗語や方言までを使いこなす端麗な文章
に圧倒されてしまい、私にはお手上げだった。
それ故に他の作家に逃げたりしているわけである。
痴人の愛の次に好きなものだと鍵を挙げたい
とにかく私は彼の性癖が垣間見える作品が好きだ。
晩年の作品にもそれが発揮されているのを見て
彼が最後まで女性崇拝に狂っていた事実に
なんとも言えない幸福感に包まれる。
何と言ってもあれだけ分かりやすい足フェチなのも愛おしい。
三島由紀夫に浮世離れな作品ばかり書いて自己韜晦に成功した人だとかなんとか言われていたと知りそれもまた面白い。
周りの評価からもその人の人格が浮き出てくる。
とにかく彼は、人間性含めて面白い。
だから惹かれる。
近代文学を読むにあったて
作家の人間性と作家同士の関係性を知ることは
作品をより楽しむための一助となる。
個人的には作家の書簡をまとめた本が好きでよく読む。
死んだ後こんな風に晒されるのは気の毒だと思いながらも、にやにやしながら読むのは楽しい。
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