だんごむしを追いかけて
今年は優雅に夏らしい夏を過ごしたい。
海へ行こうか。花火を見ようか。
そう思っていてもこの暑さじゃ外に出るのも億劫になる。
冷えた部屋で床にへばりつきながら、ぼんやりしていると、昨日持って帰ったセミの抜け殻を外の植木鉢に隠しておいたのを思い出した。
親に見つかったらめんどうなことになるぞ。
いち早く移動させないといけない。
重い身体を持ち上げて玄関扉を開ける
むわんと全身が熱気に包まれてよろめく
やはり、外は危険である
思わずついた溜息
落とした視線の先には、ヤツがいた。
ギラギラと熱されているコンクリートにだんごむしがくっついている
もぞもぞしていて、進んでいるのかも分からない。
これは、、、弱っているな。直観でそう感じた。
私は、急いで台所から水を汲んで持ってくると
乾燥した身体にちょろっとかけた。
その瞬間だんごむしはきゅうっと団子のように丸まって動かなくなった。
それからじぃーっと息をひそめて見ていると、途端にもぞもぞ動き出す。
これはおもしろい。
おしりをつついて歩かせた。
押されるままにずんずん進む。
ふと自分のひたいに汗の粒が湧いてくるのに気がついて
小さな虫に夢中になっている自分を俯瞰してみる。
ああ、これが
夏って感じかも。
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