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有無同然

有無同然とは、仏教の言葉だ。

「有っても無くても同じく苦然り」

この言葉の意味は、財産や所有物、地位や名誉、才能などの目に見える評価基準、良い事や悪い事の条件は《有る》人も《無い》人も等しく苦しんでいるとされている。

本当の幸せは、有る無しの条件とは、別のところにあるのだと説いている。

また、物があっても無くても人間の悩みや苦しみは同じで、無くならないともされている。

手に職がある者は、サービス残業や休日出勤に駆り出されて、嫌な人間とも仕事をしなくてはならないので、心身ともに疲弊する。
「仕事を辞めて時間を持て余したい!」と思うだろう。
対して無職になると人間関係のストレスもなくなり、時間も膨大にあれど、世間体や金銭面での不安は拭い切れない。

子供が出来れば子育ての苦労。そしてその子供も思い通りに育つ訳ではない。 障害者になったり、犯罪者になったりするかもしれない。
学校でイジメに遭う可能性だって十分あるだろう。そのまま自殺してしまうかもしれない。交通事故に遭って事故死してしまうかもしれない。

財産を持てば失う恐怖に苛まれる。金は天下の回りものであり、諸行無常なので、未来永劫金持ちでいられる保証はどこにもない。
近寄ってくる人間も金目当てであることがあるので疑心暗鬼になるだろうし、争いごとの元にもなる。

名声が得られ、承認欲求が満たされても、今度は嫌われないように立ち回る必要が出てくる。芸能人などはそう。斜め横断もできないだろう。地位を保つための苦労や引きずり下ろされる不安が出てくるのだ。

一度いい思いをすると脳が快感を記憶して、なかなか手放せない。依存症と同じだろう。いざ手元から無くなれば、元々持たざる者からすればプラスがゼロになっただけだが、持っていた者にとっては評価されている状態がデフォルトなので、ゼロだとマイナス状態なのだ。

自分でシミュレーションしてみる。

☆今欲しいもの
•新垣結衣と結婚できる
→橋本愛と結婚したくなる
•高性能パソコンが手に入る
→飽きてやらなくなる
•吉野家食べ放題
→飽きてマック食べたくなる


このように、欲が満たされれば苦しまなくて済むわけではない。人を得れば愛別離苦の危険が発生し、執着が深いほど別れた時の苦しみも強くなる。どの状態でも不安はついてまわるのだ。

しかし、ある事も無い事も関係ないのであれば、逆に言うと幸せになれるかどうかも条件の有る無しには関係がないということなのではないかと思う。

結局苦しみを生むのは自分の脳みそだ。五蘊盛苦。
この五蘊盛苦を何とか出来れば、逆の意味で有無同然だ。
「あってもなくても幸せ」

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