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[詩]「一枚のかみ」

1.かみさま


はんてんする

らくえんの


くらいくらい

ちかしつで


めがみさまに

たすけてもらった


あなたは

わたしのすべてになった


あなたといるだけで

みたされるこころ


どんなしごとでも

たえられるくらい


ほかには

なにもいらなくて


ただただ

いっしょにいたかった


それだけなんだ




2.回顧録というべきもの


あれから


時は経って


私は彼女と

離別した


彼女との時間で

知恵をつけた


労働を通して

世界を知った


そうして


私は

彼女の奴隷だったと気づいた


はじめは

彼女を憎めなかった


けれど


素敵な出会いが

私に疑問符を浮かばせた


彼女は

私に言葉を与えた


彼女は

私に言って聞かせた


けれど


その言葉も


私を利用するため


気付いてしまったから


悟ってしまったから


私は

神を信じなくなった


あれから


時が経って


死の間際は

天国の近く


雲一つない

青空の下で


偶像を描き


文字を書いて


紙に綴じた


丁寧な折丁


出来上がった

一冊のフォリオを


私は大事そうに

抱き抱えた


かつて


貴方へ向けた

好意のように

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