「無知の海。」(詩)
心に雨が降る。
いつも降っている。
海の水面が揺らめいてる。
傷の付いた身体が揺れる。
震えて、雫を落とす。
砂に足跡付けて笑うような。
浮かれすぎの足が止まる。
「エス」
自分の中の衝動。
飼い慣らせなくて、ただ逃げたくて。
(……誰かの、せいにしたくなった。)
心は藍色に染まる。
海岸の塩水が、傷に染みた。
凍って。
雪の凍(し)みる11月に。
……そろそろ、冬が来る。
心は遠く。
明日が怖くなった。
心が軋んで、痛んだ。
寒がって、震えた。
自身の愚かさに
余る贖罪を。
幸せな日々を。
ちょっとだけ、期待していたから。
感情。
子供らしく、砂浜を駆け回る。
砂にまみれる僕は。
鯨の爆発を見た。
急かされる帰り道で。
「なんで、こんなにもかなしいんだろ……?」
普段感じない寂しさが
心を蝕んだ。
そして。
瞬く間の夜。
夕日が沈む切なさに。
絶え間なく、波は揺れて。
絶え間なく、心は揺れた。
別れだらけの人生に傷。
刻んだ、想い出も全部。
綺麗な海に、投げ入れた。
「……これでいい。これでいいんだ。」
ひたすら、言い聞かせるようにして………
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