見出し画像

[詩]「文字の庭園」

落ち着いた庭園


積み上がったいし


歴史を思わせて


梅の花が咲く


その高潔に 


たたずむ黒猫


その姿を

けづくろう


写真じゃ切り取れない


文字の庭園


水面は揺れて


流れて


心を潤す


静かな空間が

溢れていく


波紋のように

広がる無数の言葉


触れてはいけない

硝子の向こう


座り心地のいい

ソファーに腰掛けて


私も

景色の一部になった


眺めている


ひとりきり


切り取られた絵画のように


飾られた人生


見つめて


「貴方のようになりたい」


そうやって

嘯いた


軽薄なユーモアも


その場にいた

私の気持ちも


まだ綺麗に

描けないけれど


それでも


心の中には

あの風流な庭園が


人生という名の

文字で満たされた景色が


思いが


誰にも知られず

眠っている


私だけが知っている


あの

静かな庭園


瞬きをして

その場をあとにした


ふと振り返ったら

あの黒猫も消えていた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?