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面白い大阪の政治その7:特殊な小選挙区【全文公開の有料化】

衆院選における大阪の小選挙区は現在19ある。
1994年に可決し1996年にスタートした小選挙区比例代表並立制。しばらくした1999年に公明は連立相手となった自民に分け合う形で大阪では19中4つの選挙区を公明党のモノとした。
2009年の民主の政権交代時以外は安定して公明が勝ち続けている。

しかしこれを不満と思う者が多いのも事実。
まずは「維新の支持者」だ。
2010年代に発足し、大阪で改革をし続けてきた維新に対しては「大阪都構想への協力」で2021年の総選挙までは公明党への選挙区には立てない盟約を結んだ。
しかし、2023年統一地方選挙の大阪での維新完勝で公明に遠慮する必要が無くなり次の総選挙(第50回)で維新は公明党の選挙区にも維新が候補を立てる事を表明。該当選挙区の維新支持者の投票により戦局が大幅に変わる。公明はウカウカしてられないだろう。
公明は票の上積みを狙って、今まで自民の小選挙区に票を入れるために住まわせていた創価の信者を自身の選挙区に移住させたりするから、自民候補に入る公明票が激減したりして…

公明選挙区の維新支持者の行動に変化があるのに対して、未だに我慢や犠牲を強いられている人達がいる。
それは「公明選挙区に住む自民党支持者」である。
彼らは自公連立以降約25年、自分の選挙区に自民党の候補者がいないため自民が推薦する公明候補に投票する他ないようにされている。自公連立に反発する支持者は「選挙権放棄」「白票・出馬してない人への投票などの無効票」「野党候補への投票」などで細やかに抵抗している。

ちなみに過去2017年には自民の一般党員だった中条栄太郎というつるっぱげが離党して大阪3区に無所属で出馬するが落選。そんな彼は今参政党にいるが、結果は戦況はそんなに変わらない。

コロナ禍の2021年、細やかな抵抗では無駄と感じた一部の支持者がある作戦に出る。それは公明党の佐藤茂樹が議席を持つ大阪3区に西成区で燻っている自民党の柳本顕を嗾けることだ。
大阪市議会でぬるま湯に浸かりたかったが、「反維新の顔」「大阪都構想反対派の旗振り役」として崇められたすえに2回大阪市長選に出馬「させられた」うえ、惨敗。埋め合わせもされずに使い捨てにされている彼を焚き付ければ、大阪3区の議席を公明から奪える。自民党を離党して無所属で出馬すれば自公関係も問題なしと思ったのだろう。

地元の支援者の声を額面通りに受け止めた柳本顕は無所属で活動する為に独自の政治団体「大阪の底力」を設立し、出馬に向けて準備を進めていた。
2021年10月初旬、柳本顕は自民党本部を訪れて衆院選に離党して無所属で大阪3区に出馬する意向を伝えた。
青天の霹靂を受けた党本部は慌てふためく。自公連立関係を大事にしてるから、「除名になるぞ、替わりに2022年の参院選で比例の特定枠に入れるから取りやめろ」
と叱責・牽制と共に代用案で押さえ込もうとするが、今回の衆院選じゃないと意味が無いから突っぱねた。ここまで固辞するのは「仕方なく公明候補に入れていた有権者」「仕方なく公明以外の候補者に入れてた有権者」「白票を投じていた支持者」「今まで投票しなかった有権者」の票があれば勝てる選挙戦と考えていたからだ。
除名されたとしても負けたら引退する覚悟もあったし、別の党にでも移ればいいと思っていたのだろう。

柳本顕の出馬騒動を自民党内で事を収めることが出来ず、マスコミが報道したため、公明党は大激怒。
大阪3区選出の公明党影のボス・佐藤茂樹は山口那津男代表に「好ましくない。大阪3区のみならず、自公の協力で進めているところにも様々な影響が出かねない」と言わせて、自民党本部を牽制。
このままだと多くの自民党の候補者が推薦得られず公明票が激減して落選者を多く出してしまうと慌てふためいた自民党本部は今まで出さなかった禁じ手を使わざる得なくなった。
『比例名簿単独2位(自民党・近畿ブロック)』
当選はほぼ確実である異例の待遇で柳本顕を押さえ込んだ。
これには柳本顕を動かした支援者も空いた口が塞がらなかった。柳本顕も「確実に自民党の国会議員になれる埋め合わせをしてくれたので無碍には出来なかった」ので受け入れるしか無かった。

2021年の衆院選、大阪3区の結果は佐藤茂樹の当選で終わった。しかし白票などの無効票が全体平均2%に比べて10%とかなり多かった。
もし柳本顕が出馬できていたら投票率は増え、無効票率は減っていたのに残念な結果だと言える。

それだけではない。2021年の衆院選、自民党は絶対安定多数の261議席を獲得したが、大阪の小選挙区では立てた候補15人は全員維新相手に落選。比例復活は13区の宗清皇一と19区の谷川とむだけだった。
その怒りの矛先は当然柳本顕に向けられてもおかしくない。小選挙区で大変な思いしている一方で柳本が騒動起こして比例単独上位で悠々当選したならその怒りは当然だろうが…

でもなあ、2019年柳本は参院選に叔父の地盤継いで出馬する予定だったのに、急遽入った大阪市長選の候補者に無理矢理彼を選んだのはアンタらやろ?
あんたら国会議員の椅子にしがみつきたいがために断ってたけど、あんたらの誰かが代わりに出馬してくれたらこんな結果にはならなかったと思うよ。
その責任は落選して無職になる事で取ってもらわないと割にあわへんで。

次の総選挙(2024~2025年?)において自民と公明は大阪においては維新への対決姿勢を鮮明にするため合同選挙対策本部を立てたり、連立の重要性をアピールするかのような演説や説明会などの催事を頻繁に開いている。

特に11月13日、「公明府本部主催の政経フォーラムがあった。自民の茂木と公明の山口代表が握手をして
「きょうが大阪の自民と公明の出発の時だ。力を合わせ、大阪の政治基盤を立て直す」と訴えかけた。
公明選挙区の自民支持者にとっては耳が痛い出来事ばかりだ。
公明にも野党にも維新にも入れたくない人にとっては地獄である。
彼らの受難はまだ続く…

さて今回はここまで!

【2024/1/18追記】
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