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『隣との距離』

「どうぞ」
お菓子の箱を手に彼がやって来た。
箱の中身はたくさんのクッキー。
出張のお土産らしい。

どれにしようか悩んでいると、
「ほら、早くしてー」
わざとらしく重そうなフリをして、
体を寄せて箱を私の腕に押し付けてきた。

一瞬縮まった距離に動揺して、
食べたかったクッキーを選び損ねた。

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