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海外で育つ子どもが日本の小学校を体験したら① 決意

2022年、上の子ども(ユウ)が小2の時に下の子ども(まるちゃん・1才)の育児休暇を利用して、日本に4ヶ月滞在してきました。季節は7月から11月初旬。コロナの規制が緩まりホテル隔離がなくなったタイミングで、3年ぶりの帰省でした。滞在中、ユウは日本の小学校に通うことができたので、海外で生まれ育った子どもが日本の小学校を体験した記録として、残しておこうと思います。

まずは、なぜ日本の小学校に通わせようと思ったか?について。

学習言語としての日本語の基礎を身につける

以前にも触れたことがありますが、バイリンガルの言語の発達について、社会言語と親の言語が違う場合、ざっくりと4才までは家庭内での会話能力の発達、5~7才頃は文字の習得、8才~9才以降は学習言語(読み書き)への移行がその後の母語保持に重要な役割を果たすとされています。

もしも幼児期にネイティブのようにペラペラに二言語を話していたとしても、読み書きの習得までいかないと、現地の学校に通った場合、学校で使わない言語の発達は止まり、放っておくと消えてしまいます。

ユウの場合は、韓国で生まれ育って地元の学校を選択したので、日本語に触れる時間は家庭と日韓家族のお友達との集まり、チャレンジでの通信教育、半年に一回の日本帰省のときだけでした。
それでも、会話は日韓両方できるようになり、ひらがなを覚え(カタカナは怪しい)、小1からは週に1回オンラインの日本語レッスンで国語の教科書で学ぶというスタイルに移行してなんとかがんばっていました。

…が、コロナの影響で長い間日本にも行けず、学校では韓国語で学び、どんどん伸びる韓国語に比べて日本語での話が段々あやふやになっていく感じが著しく…。

  • 日本語で話していると言いたいことにピッタリくる表現が思いつかず、韓国語の単語で補うことが増えてきた。

  • 日本語の表現が韓国語っぽい(「覚えてない」を「記憶が出ない」、「思いついた」を「考えが出た」と言うなど)。

  • 日本語で話していると、言葉に詰まることが多くなってきた。

  • 日本語の授業や通信教育で書いて練習した漢字を全く覚えていない。

「聞いちゃいたけど、こういうことか」と実感しました。

日本の学校環境に一定期間通わせて、学習言語の基礎を身につけさせたい。

前々からぼんやりと思っていたことですが、このままでは日本語が消えてしまうという危機感と相まって、段々気持ちが強くなっていきました。

そして、我が家の日本語教育の中間目標は、日本の学校に入った時に、本人が違和感なく溶け込める程度の日本語の会話と読み書き(まずは小1程度)を身につけることだとはっきり思うようになりました。

日本での居場所・友達・思い出作り

小さい頃は、日本に帰省しておじいちゃんおばあちゃんのお家に泊まり、家族で過ごしたり、お母さんのお友達家族と遊んだりということで、十分楽しめていました。家族ぐるみでお付き合いできる友人がいることはとってもありがたいこと。でも、やはり子どもが成長するにつれて、「自分で作った友だち」が必要になってきます。

できれば、「日本に行ったら会いたいな」と思えるお友達「帰りたいな」と思える場所ができたら…という思いがありました。そこで生まれた人間関係や思い出が、「日本」という場所への愛着になり、ルーツとしての日本、日本語、ひいてはアイデンティティにも影響を与えるんじゃないかな…なんて思ったわけです。

そうして、本人にも「日本の学校に通ってみたい?」と聞いてみると「絶対通ってみたい!僕は、日本に夏と冬しか行ったことがないんだよ。秋と春にも行ってみたい。韓国の学校は行ってみたから、日本の学校がどんなか知りたい!」とのこと。

ユウが最後に日本に行ったのはコロナ前の5才の冬だったのですが、7才の頃にはほぼ毎日「日本に行きたい」「いつ行けるの?」「じいじばあばに会いたい」と言われ、「もう、駅からじいじばあばのお家に行く道も忘れちゃったよ」と悲しそうに呟いていました。

育休中であったこと、コロナの規制が徐々に緩んできたこと、私の日本の学校を体験させたいという気持ちが固まったこと、子どもも行きたいと言っているタイミング……。

これらが揃い、夫を説得して、息子と娘を連れて可能な期間日本で暮らしてみよう!と決意しました。

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