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50代は、就農適齢期?        その1「人生の折り返し地点」

なぜ、人は50歳代になると、地方や農業に憧れるのでしょうか?
 放送開始から約20年にわたって、中年~熟年層に密かな人気を博しているテレビ番組「人生の楽園」をご存じでしょうか。「人生には、楽園が必要だ」というキャッチフレーズで、Uターン・Iターン移住して故郷を元気にしようと汗を流す人や、サラリーマンを勇退して大自然の中でゆったりと田舎時間を楽しむ人など、様々なセカンドライフを紹介しながら新しい生き方を提案するといった番組内容です。注目すべきなのは、放送開始から20年以上となった今も、ファンを増やし続けていることです。私も、放送開始の頃からのファンで、当時は30代にも関わらず東京でのサラリーマン生活に疲れていたのか、ほのぼのとした雰囲気に「いいなあ・・。いつかは」といった想いがしたのを覚えています。  
 番組制作プロデューサーは、人気の理由を以下のように語っています。「この番組の視聴者は、50歳以上の男女が圧倒的。定年後、まだまだ長く続く人生を生きていく上で、新たな生きがいの発見に関心が向いているのだと思います。」50代は、人生の価値を再発見する年代なのでしょう。 

人生の楽園

セカンドライフを、農業に賭ける50代たち。
 豊かなセカンドライフを志向する50代のサラリーマンが、農業のポテンシャルに魅せられて農家へと転身する例が増えているそうです。その一例が、元大手企業の同期3人が55歳で早期退職して、生まれた農業法人「アーバンファーム八王子」です。代表の続橋氏は、就農にトライした際の想いを以下のように語っています。
 「農業で利益を出すのは大変だということと、都内では借りられる農地が少ないことも、退職前からわかっていました。年金の支給が始まるまでの10年近くは無収入でも生きていけるかどうかが、新規就農に踏み切る判断基準でした。」「私たちは利益を得るためだけに新規就農したわけではありません。あまり売り上げが上がらないトウモロコシやジャガイモなども栽培して、農業の楽しさを優先しています。」「サラリーマン時代からすると、年収は10分の1以下です。しかし、これまでの貯えを切り崩しながらやっていくことは想定済み。意外と収入面でのきつさは感じていません。ライフスタイルの変化で、いくらでも充実感は得られるものだと実感していますし、地域の方々との交流や農業を通じた地域活性化、社会貢献の活動などが人生をとても充実させてくれています。」
(出典:マイナビ農業 https://agri.mynavi.jp/2017_07_29_1732/)    
 大手企業で保証された高い年収を捨ててまで、彼らを地方への移住や農業へと駆り立てたもの。家計を不安定にし、家族を不安にさせてまでも、彼らが農業に魅せられたもの。それはまさに、人生の折り返し地点における「価値観の転換」によるものに違いありません。

 50歳という人生の折り返し地点を迎えて
 一般的に40代までは、サラリーマンとして家庭を築くため、また経済的な豊かさを求めるために、昇給や出世を目標にひたすら頑張るのが常です。ところが50代になると、それらの願望はある程度実現し、昇給と出世には限界が見え、人によっては役職定年となって達成感とともに会社における存在感が薄れ、「定年」という二文字が浮かんで来ます。そこで、あらためて今後の人生においては、何を目標に、何を大切にして、どう生きるべきか考えるようになるのでしょう。わが身に投影しても、人生100年時代において50代は、まさに「人生の折り返し地点」と実感をもって言えます。
 ファーストライフは、家族のために“経済的な豊かさ”を求めたステージとしたら、セカンドライフは、自分のために“精神的な豊かさ”を求めるステージ。外ならぬ私も、50代半ばであり、まさにそんな想いです。こういった「価値観の転換」は、なぜ起こるのでしょうか。次回は、さらに深堀をしてみたいと思います。

以上、Vo.4-1『50代は、就農適齢期?その1「人生の折り返し地点」』
*次回は、その2「価値観の転換」をお伝えします。
#セカンドライフ , #農業 , #人生100年時代 , #幸福 ,

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