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人生100年時代へ。農業のポテンシャル①「一生現役」

なぜ、日本は『人生100年時代』と言われているのでしょうか?
 日本は先進国の中でも少子高齢化の進行が著しく、令和元年(2019年)9月における総務省の統計によると、65歳以上の高齢者の総人口に占める割合は28.4%に上っています。この数字は、世界201の国と地域中で最高で、今後20年以上さらに伸び続けると推測されています。中でも注目なのが、80歳以上の高齢者が2035年まで増加し続けること。つまり、日本人の多くの人々が、“長生き”になっているのです。

人口推計

日本は世界No.1の長寿国に。国も様々な対応が迫られています。
 日本人はどの程度、長生きになるのでしょうか。厚生労働省の推計によると、平均寿命は2020年には男性80.9歳・女性87.6歳、2030年には男性81.9歳・女性88.6歳、さらに2050年には男性83.6歳・女性90.3歳に延びるとされています。つまり「30年後には、男性は85歳くらいまで、女性は90歳くらいまで長生きする」ことが普通になるのです。

平均寿命

 長生きになったことは喜ばしい反面、今までに経験したことのない様々な課題に直面する時代と言われています。日本は高齢化の最先進国のため、見習うべき先例となる国はありません。国内を見渡しても、年金制度への不安が叫ばれる一方、100歳近くまで安定雇用してくれる終身雇用の会社は現れそうもありません。セカンドライフにおいては経済的な豊かさだけでなく、健康や生きがい、コミュニティや地域とのふれあいといった精神的な豊かさが重要になってきます。国の政策では対応しきれず、自らの手で新たなライフスタイルを創っていくことが求められるでしょう。「日本は、人生100年時代を迎える」という言葉には、長生きできる幸せな時代への賛辞とともに、今までにない課題に直面し、自ら取り組む必要性があることへの警句が、背中合わせになっているのです。

『人生100年時代』には、これまでの人生設計を変えなければいけない! 
 
これまで人生設計において、多くのサラリーマンは現役世代を60歳定年と考えて、その後の人生を“老後”と呼び、“余生”を楽しむことが、典型的なライフスタイルでした。ところが、人生が100年もの長きにわたると、そうはいきません。たとえサラリーマンの定年が65歳に延長されても、人生はまだ30年以上も続きます。”老後””と呼ぶにはまだまだ活力があり、もて余してしまう。30年もの”余生”を送るには貯蓄や年金だけでは十分と言えない。国としても、年金支給の開始年齢を延長したり、支給金額を見直したり、政策の修正を余儀なくされているのは周知のことでしょう。これからは人生設計において、“老後”および“余生”という概念を捨て去るべきです。そして、従来の現役世代を“ファーストライフ”と呼ぶならば、それに続く30年以上にわたる“セカンドライフ”をどう充実させるかを考える意識転換が必要なのでしょう。

「人生100年時代」の真の働き方改革は、いかに現役を続けられるか。
 サラリーマンを定年した後のセカンドライフは約30年以上もあります。60歳定年後、再雇用で65歳まで会社に残れるか、それとももう少し長く働ける先を探すのか、60歳に近づいたサラリーマンにとって悩ましい問題です。
 調査によると60歳以上の過半数が「75歳以上まで働きたい」と考えていますが、現在の労働の実態は、労働力人口に占める65歳以上の割合はわずか約12%です。「働き続けたい」という意欲に対し、それを実現できる労働環境は決して十分でないのが現状なのです。

働きたい年齢

労働人口

 会社の制度が定年65歳もしくは70歳制に代わったとしても、たかだか5年から10年の話です。さらに、より多くの会社において役職定年といった人事の若返り策が施行される可能性もあり、“やりがい”がこれまで通り維持できるかは不透明です。いつまで働けるのかは、収入などの経済面もさることながら、やりがいや生きがいといった精神面でも大きな課題でしょう。

”一生現役”が果たせる職業、その代表選手が「農業」だ!
 内閣府が55歳以上を対象に行った「何歳まで働きたいか?」というアンケート調査によると、農業などの農林水産業に就業している人の7割以上が「働けるうちはいつまでも」と回答しています。これは、自営業や非雇用、パートなどの他の就業形態で働く人に比べて非常に高い数字です。この数字には、農業で“一生現役”を目指したいという意気込みと、農業ならそれが可能で「充実したセカンドライフを送れそう」という期待が込められていると想像できます。

一生現役2

 では、ここでひとつクイズを出します。
「問題:健康でさえあれば、一生現役で働ける職業は、何でしょう?」
農業を体験したことのないサラリーマンにおいても、一番多くの回答が得られるのは、おそらく「農業」でしょう。65歳以上の高齢者の割合は、総人口においては約3割になろうとしていますが、労働力人口としては約1割強しか占めておらず、その高齢者の就労ギャップを埋める働き口としても「農業には高いポテンシャルがある」と言えるのではないでしょうか。

以上、Vo.1-1 『農業のポテンシャル①:一生現役』

*次回は、「農業のポテンシャル②:田園回帰」についてお伝えします。
#セカンドライフ , #農業 , #人生100年時代 , #幸福 ,#一生現役


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