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人生100年時代のための幸福学     Ⅰ「ライフステージと幸福の関係」

ライフステージと幸福感が描く、U字カーブとは
 一般的に年齢と幸福度には、どういった関係があるのでしょうか。内閣府「幸福度に関する研究会」の研究報告によると、調査結果から、ライフステージと幸福感の関係はU 字カーブをたどるとされています(平成23年「幸福度に関する研究会報告」より)。
 若者は希望と可能性にあふれているので、幸福感が高くなります。それが熟年層に入る頃には、人々の人生がある程度定まってくるので、若い頃持っていた夢や野心をあきらめざるを得ないことから幸福感が下がってしまいます。その後の高齢期に入ってからは人生の方針を変え、「後半の人生を楽しく充実させよう」と努力することで幸福感が再び高まると、U字カーブの理由が考察されています。

U字カーブが示す日本の問題点。
 ところが、高齢化先進国の日本にとって、ゆゆしき問題があります。日本では高齢期に入っても 幸福感が上昇していかないことが分かったのです。下のグラフのようにアメリカと日本の比較をしてみると、その違いが明らかです。

ライフステージと幸福感1

 上のグラフにおいて注目して頂きたい点があります。欧米と日本の幸福度の曲線が重なる年齢がほぼ50歳であり、まるで対称形の折り返し点のようです。この“幸福への分岐点”とも言えるのが50歳代。欧米では幸福感が上昇していくはずが、日本では体力と気力の衰えに加え、周りの雰囲気、社会の風土や環境において、常に幸福感に下方への圧力がかかり続けるのが日本の高齢者の環境であることを示しています。
 日本においてセカンドライフの幸福感を欧米のように上げていくには、遅くとも50歳代には右下がりを右上がりに反転させる大きな力、すなわち転機をもたらす強い“志”と行動が必要なのです。

日本で幸福感が上昇していかない最大の原因は?
 日本人は、欧米人のような「後半の人生を楽しく充実させよう」といったセカンドライフに対するビジョンを持ち得ていないと言われています。終身雇用や高年齢での転職の難しさもあってか、これまで日本人の多くは、後半の人生を「老後」と呼び、あたかも“惰性で生きていくこと”もよしとするようなイメージがあったのではないでしょうか。

セカンドライフ・アグリの目標は、幸福度のアップ!
『セカンドライフ・アグリ』は、人生の後半を「セカンドライフ」とポジティブに認識して、幸福感を高めていこうという就農スタイルです。

ライフステージと幸福感2

日本の高齢者の幸福感にかかる社会的、環境的な“下方圧力”に個人で打ち勝つためには、志を支え、上に向かい続けるための“心のよりどころ”が必要です。私は、それこそがセカンドライフ・アグリを成功に導くための重要な要素であり、幸福度を考慮したマネジメント指標が必要だと考えています。
 次回以降、幸福度をどのように測り、どのように幸福なセカンドライフづくりに活かせるかについて、深堀りしていきたいと思います。

以上、Vo.6-2『ライフステージと幸福の関係』
*次回は、『国連と日本の幸福度研究』についてお伝えします。
 また、今までの記事もマガジンにて公開しています。
#セカンドライフ , #農業 , #人生100年時代 , #幸福 ,

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