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人生の”幸福度”の測り方

幸福度って、どうやって測るんでしょうか?
 「幸福は人それぞれなので、測れるものじゃないのでは?」と思う方も多いでしょう。けれど、幸福度を測ろうとすることで、”自分の幸福の元になっていること”について再認識することにつながり、より幸福になるための目標・方法・努力が具体化できます。
 セカンドライフに農業を選んだけれど、「もっと儲かる職があったのでは?」とか「ほんとうに農業でよかったんだっけ?」という迷いが生まれないとも言い切れない私は、『セカンドライフ・アグリ』を持続し成功に導くために、幸福度をマネジメント指標(自己管理のものさし)として活用しようと考えました。そこで、これまでの幸福学において開発されてきた”幸福度の評価方法”を整理・分析してみました。

幸福度の評価方法 その1『キャントリル・ラダー』
 世界幸福度ランキング(World Happiness Report)の測定に用いられているのが、“キャントリル・ラダー(キャントリルの梯子)”という評価方法です。「幸福度は、主観的なものである」ということを前提に、下記のような質問によって評価します。

幸福の測り方1

回答者から得られた11 段階の数値を平均して、国などの”集団での幸福度”を比較することを目的としています。すべての国で同じ方法、同じ設問を用いることができるという利点があり、比較可能なデータが多数ある場合、総体の尺度として最も優れたものと評価されています 。
 人がどのように回答するかは、性格や一時的な気分、文化的背景、解釈や判断力によって影響される点で問題があるとの指摘もありますが、サンプル数が十分に多ければ平均化されるので、各国間の比較が目的であれば概して個人差は無視できるとされています。しかし、この方法は、標本数を増やして平均化することや集団を比較することなど、セルフ・マネジメントのための指標にはあまり適さないと思われます。

幸福度の評価方法 その2『ディーナーの人生満足尺度(SWLS)』
 幸福度の測定について、研究者は「何が幸福なのか?」を定義せず、被験者の主観的な判断に任せるアプローチをとっており、総じて“主観的幸福度”と呼ばれています。その指標のひとつとして、「幸福学の父」と呼ばれる エド・ディーナーによる「人生満足尺度」が広く知られています。その評価方法は、5つの質問に7つのレベルで答えてもらい、結果の数値を合計するというものです。

幸福の測り方2

この方法の優れたポイントは、「あなたは幸せですか」といった単純な質問ではなく、5つの質問に7段階で回答してもらうことで、「幸福」という言葉の曖昧さや、直近の気分の影響を受けにくくしているところです。
 この人生満足尺度(SWLS)を、日本人1,500人を対象に調査したデータが下の棒グラフです。この分布を物差しとして、自分はどの程度の位置にあるか把握できる利点がありますが、「自分は、どのようにして幸福度をあげていけばいいか?」などの幸福への指針が得られないのが難点です。

幸福の測り方3

幸福度の評価方法 その3『幸せの4因子とレーダーチャート化』
 幸福に関して、自己認識と行動指針を与える方法として、とても参考になるのが慶應義塾大学の前野教授が提唱する「幸せの4つの因子」です。経済学者のロバート・フランクが、周囲との比較で満足を得るものを“地位財”、他人との相対比較とは関係なく幸せが得られるものを“非地位財”と整理し、「幸福の持続性が異なる」としたことに注目。幸福の持続性を重視して”非地位財”に関連した心的要因をリストアップし、「幸せの因子」として4つの項目に整理しました。

幸福の測り方4

 さらに、幸せを自己認識しやすくするために、各質問に対する回答の7段階のレベルを、レーダーチャートにして見える化しました。このことで、「幸せになるには何が足りないのか」「より幸福度を上げるためには、どういった部分を伸ばしていけばいいのか」といった幸福への指針を与えてくれるようになっています。

幸福の測り方5

『セカンドライフ・アグリ』を成功に導くための指標を。
 セカンドライフは約30年と長期にわたり、また農業は期待するよりも儲からないケースが多いと聞きます。そのため、幸福という目標を見失ったり、初心で描いたビジョンが曖昧になりがちです。そこで次回は、セカンドライフ・アグリを持続的に成功に導くためのマネジメント指標(自己管理のものさし)をご紹介します。このマネジメント指標の目的は、自分をじぶんで励ますためのツールになることです。”自分の幸福とは何か”を見失わないようにして、豊かなセカンドライフへの道筋をより確かなものにできればと思います。

以上、Vo.7-1『人生の”幸福度”の測り方』
*次回は「人生を“幸福度”でマネジメントする『持続性幸福度』」についてお伝えします。また、今までの記事もマガジンにて公開しています。
#セカンドライフ , #農業 , #人生100年時代 , #幸福 ,

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