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人生100年時代へ。農業のポテンシャル③「作る歓び」

土いじりを楽しみたくなるのは、本能なのでしょうか?
 高齢者の「趣味・娯楽」で最も人気が高いのは、「園芸・庭いじり・ガーデニング」です。調査によると高齢者人口に占める行動者率(1年間の間にその行動をした割合)が2016年の時点では76.1%となっていて、5年前の2011年と比べると4.0ポイント上昇しています。そして、年齢別にその行動率を見ると、土いじりをしたくなるのがDNAに組み込まれているかのように、年齢が上がるとともに上昇し、70歳以上でも高い数字となっているのです。
 「園芸・庭いじり・ガーデニング」には、土や太陽といった自然に触れる爽快感、植物を育てる手仕事の楽しさ、大きくなった草花を眺める嬉しさ、育てた作物を収穫する達成感、自分で収穫した新鮮な作物を食べる美味しさなど、農業に共通する「人間らしい生活」の豊かさが詰まっています。

ガーデニング

野菜作り熱が本格化。市民農園の数も、右肩上がりに増加中。
 そんな「作る歓び」を本格的に味わいたいという動きが、都市部の人々の間で盛んになってきました。それが「市民農園」の増加です。市民農園は、1990年前後に特定農地貸付法や市民農園整備促進法が制定され、右肩上がりで農園数や面積を伸ばしてきました。その規模は、2016年で全国に4,223農園、面積にして1,381ヘクタールに上り、20年前に比べ農園数は約2.8倍、面積は約3倍に拡大しているのです。

市民農園

趣味をこえて、限りなく農業に近づく人が増えています。
 さらに近年、「自分が苦労して作った野菜が一番美味しい」と、人気を博しているのが「農業体験農園」です。この園では、種苗や農具、肥料などを用意し、利用者は手ぶらで来園でき、栽培指導も受けられ、まさに”農業の疑似体験”ができるのです。利用者は、60歳以上が約6割を占めており、利用してよかった点として「食卓に新鮮な野菜が登る頻度が増した」など食生活の充実も相まって、高齢者になるほど農業の価値も高まっていると言えます。

市民農園2

 かく言う私も、子供のころは実家の「農業」が嫌いで、田畑仕事も「退屈だわ、疲れるわ、かっこ悪いわ」で大嫌いでしたが、大人になって30代で東京のマンション暮らしをするとなぜかベランダでガーデニングをはじめ、40代になるとミニトマトやパクチー、アスパラなどをつくり、50代になると自分で作った野菜が美味しく愛おしく思え、ついには実家の農業を継ぐ決意をしていました。自分自身、ある意味平凡であまりに典型的な趣味嗜好の人間であったことに呆れます。個人的には、「土いじりや米野菜作りは、人間のDNAに組み込まれている」と結論付けたいと思います。
 以上のような趣味嗜好の動向からも、人間の本能からも、「人生100年時代」において農業は “つくる歓び”といった生きがいや、“食の充実”という豊かさを提供する価値と、そのニーズが高まっていくと予想されます。

以上、Vo.1-3『農業のポテンシャル③:作る歓び』

*次回は、「農業のポテンシャル④:ふれあい」についてお伝えします。
#セカンドライフ , #農業 , #人生100年時代 , #幸福 ,#野菜づくり

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