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こうすれば越えられる、就農ハードル!クリア⑥「地域連携」

会社とのつながりから、地域とのつながりへ。
 セカンドライフを豊かにする要素に、“地域社会とのつながり”があります。地域とのつながりを作る上で、農業には大きなポテンシャルがあることは以前にもお伝えしました。実際に、新規就農をした人のアンケート調査を見ると、新しく農業をはじめた人の約7割が地域農業の担い手として期待され、実態としても5年もすると9割以上が地域にとけこめています。

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 特に、50代で就農するセカンドライフ・アグリの場合、サラリーマン時代に培われた知見を地域の活性化のために活かすことが期待され、力の見せ所とも言えるでしょう。その具体的な貢献の方法としては、次の2点が考えられます。
① “地域ブランド化”に、マーケティング視点で貢献する。
② “集落営農”の立ち上げや法人化に組織マネジメント力で貢献する。

① 販売力をアップする”地域ブランド化”
 地域の農産物の価値を上げ、販売での相乗効果を生み出すための手段として、地域ブランド化が非常に有効です。内閣知的財産戦略本部による定義では、「地域ブランドとは、地域発の商品・サービスのブランド化と地域イメージのブランド化を結びつけ、好循環を生み出し、 地域外の資金・人材を呼び込むという持続的な地域経済の活性化を図ること」となっています。農産物のブランド化の成功例としては、「夕張メロン」「魚沼産コシヒカリ」「九条ネギ」「博多あまおう」「宮崎の太陽のタマゴ」などが有名です。
 現在、ふるさと納税返礼品やお取り寄せ文化の広がりで、地域ブランドがブームのように日本中に乱立している状況です。注意すべきは、地域の内側からの視点だけで地域ブランドを構築しようとすると、差別化が曖昧だったり凡庸なブランドになりがちなことです。農林水産省知的財産戦略本部が、地域ブランドの目指すべき姿として、下の4つの要素にまとめています。

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 強い地域ブランド構築のためには、生産者として地域内で長年過ごしてきた農家の人たちとは違った視点や発想が必要です。セカンドライフ・アグリで就農する人は、都市生活者の立場で消費者視点を持って農産物に接してきており、会社でも「自社の製品をいかに競合商品と差別化するか」といったブランド戦略の経験を積んできた人も多くいます。地域の農産物の持つ価値を再発見して地域外の人にアピールしていく上で、セカンドライフ・アグリで就農する人は、「どんな人に、どう売るか」販路開拓やプロモーションのやり方などでも貢献できるでしょう。
 私も、いつか自分が生産した農産物商品を6次産業化もにらんで“地域ブランド化”し、ネット販売やふるさと納税返礼品に活用することなどを夢見ています。サラリーマン時代に長年培った知見を活かして、農業を通じて地域の活性化に貢献したいと考えています。

②小さな農家に組織のメリットを。集落営農
 集落営農は、地域の複数の農家が集まって機械の共同利用や作業の共同化を行って経営の効率化を図る取組で、農水省が支援・推進しています。農水省の調査によると、2018年の全国の集落営農数は合計1万5,111に上り、2005年から約1.5倍に増加しています。

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 集落営農のメリットは、主に次のことが考えられます。
(1)経営の効率化
 コンバインなど高額な農業機械を共同で所有することで、購入やメンテナンスにかかる費用の”一人当りのコスト”を削減できます。小規模個別経営と集落営農を比較すると、水田作経営の場合、耕地面積が約1haの個別経営では農家1戸当たりの所得は約2万円であるのに対して、同程度の規模の農家が集まった集落営農では構成農家1戸当たりの所得は約45万円となっていて、大幅な所得の向上がみられるのです。

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(2)構成員の適材適所と協働
 集落の中に高齢者や若い兼業農家などいろいろな人がいれば、能力に合わせて作業の役割分担が可能です。例えば、若手農家は熟練農家からノウハウを伝授してもらう一方、新たな視点で加工商品の企画を担当するといったことが考えられます。
(3)国からの様々な支援
 農業用機械の整備(経営体育成支援事業)、6次産業化への取り組み(6次産業総合推進事業)、農業用水の保全(農地・水保全管理支払交付金)、規模の拡大(規模拡大加算交付金)などについて、国の支援制度が利用できます。
(4)法人化による安定した経営が可能に。
 集落営農を法人化すると、農地の権利取得による安定的な利用や取引信用力の向上、社会保険等の雇用環境の整備による新たな人材確保が可能となり、経営発展を図る上で有利となります。

地域とのつながりで、農業の未来を豊かにしよう。
 以上のように、地域ブランド化は会社員時代のマーケティング活動と、集落営農の運営は会社員時代の”組織マネジメント”と共通点が多いことが見て取れます。セカンドライフ・アグリで就農した方は、地域とのつながりを通してサラリーマン時代に培われたポテンシャルを発揮し、農業の未来を明るくすることが期待できるのではないでしょうか。

以上、Vo.5-6『こうすれば越えられる、就農ハードル!⑥「地域連携」』
*次回は、⑦「身丈経営」をお伝えします。
 また、今までの記事もマガジンにて公開しています。
#セカンドライフ , #農業 , #人生100年時代 , #幸福 ,


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