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就農には、見えないハードルがある。     3「価格変動」

計画通りにいかない農業。不作もあれば、豊作貧乏も。
 昔から農業は、「お天気次第」と言われるように、気候や天候の影響を大きく受けます。日照時間や雨量、気温の高低などの変化が農作物の育成に影響を与え、育成不良による減収や病害虫での品質低下などを引き起こし、市場価格が大きく変動してしまいます。また、「不作」に対して「豊作貧乏」という言葉もあるように、生産調整・在庫調整・価格調整が難しく、品質が良くても収量が多過ぎると価格が下落してしまいます。そのため、経営計画を立てるのが難しく、計画を立ててもその通りに行かないのが常なのです。

価格が安定しているかのようなお米も、実は・・。
 ここ10数年の米の価格変動の状況に注目してみました。米の消費量自体は、毎年大きな変化はないので、在庫量は前年の収穫量と比例していると考えられます。年ごとに在庫量は大きく上下しており、それに応じて米の取引価格(相対取引)は、玄米60kg当り最高16,501円から最低11,967円と、約38%もの増減がみられます。
 米の相対取引価格とは、全国農業協同組合連合会(JA全農)、道県経済連、県単一農協、道県出荷団体などの出荷業者と卸売業者との間で、主食用米を個別に売買取引をする際の契約価格です。流通の中でも主力になっていて、農林水産省はコメ価格の実態を示す指標として重視していて、各団体や取引業者からのデータを取りまとめて毎月公表しています。

価格変動1

サラリーマンでは考えられない所得の変化が、常に起こってしまう。
 また、露地野菜について見てみると、経費や労働時間は毎年あまり大きな変化はないのに、農業粗収益および農業所得は大きく変化しているのが分かります。もし、サラリーマンが労働内容と労働時間が同じなのに、毎年、農業ほど給料が大きく変化したら、会社を信用できないでしょう。将来設計をする上でも、子供を育てたり、家のローンを組んだりすることを考えたら、不安で転職を考えたりするかもしれません。

価格変動2

生産から経営へ。新たなトライを!
 農業経営を安定させるためには、生産量や品質を安定させるだけではうまくいきません。多品目の生産、販路のマルチ化、6次産業化による消費者ニーズの把握と価格決定権の獲得などが必要になります。さらに近年の想定外の気候変動もあり、新規就農者だけでなくベテラン就農者にとっても、中長期の収益計画をたてて安定した農業経営をしていくことは、ますます難しく大きな課題と言えるでしょう。
 これから農業に従事する人は、「生産だけでなく、経営を考える」新たなトライが求められているのではないでしょうか。私は、50代で新規就農する『セカンドライフ・アグリ』を推奨するのは、サラリーマン時代に培われた経営にまつわる様々な経験・知見を、楽しみながら活かせるのではないかと期待するからです。

以上、Vo.3-3『就農には見えないハードルがある。3「価格変動」』
*次回は、ハードル4「農協依存」をお伝えします。
#セカンドライフ , #農業 , #人生100年時代 , #幸福 ,

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