農業の現状と問題点を考える。その2:「高齢化」
農業の高齢化は、想像以上。
労働力不足や年金問題など少子高齢化に悩む日本ですが、農業はすでに深刻な状況です。農水省の統計によると、農業従事者の年齢構成は60歳以上が実に約8割を占めており、高齢者に著しく偏ったアンバランスな状態です。 基幹的農業従事者(ふだん仕事として主に自営農業に従事している者)の平均年齢は67.8歳。 65歳以上の割合は69.8%に達しました。持続可能な農業の実現には、40歳代以下の若い層の新規就農が不可欠と考えられています。
農業に就くのは、大半が60歳以上。高齢化は加速しています。
では、新規就農者の年齢構成は、どうなっているのでしょうか。若い層の新規就農が期待されているのに関わらず、年間約5万5千人の新規就農者のうち、「定年帰農」と呼ばれる60歳以上の高齢者が約5割を占めています。「定年帰農」とは、都市部のサラリーマンが定年退職後に故郷の農村へUターン、または出身地を問わずIターン移住して農業に従事することを言います。つまり、農業従事者の年齢構成のアンバランスを解消するどころか、高齢化にますます拍車がかかっている状況なのです。
高齢化のすべてが、悪いわけではないけれど・・。
高齢者が新しく農業に就くことは、労働力としての活用、生きがいの創出、健康の維持など、多くのメリットがあります。しかしながら、若い人が就農しないとなると話は別で、様々なデメリットが露呈してきます。若い人と農業従事者の間に”世代間格差”が生まれ、農業に若い人も「いいね」と感じるようなイノベーションが起こりづらくなります。特に、生産だけでなく加工や販売を含めた6次産業化は、若い層の生活をとらえるマーケットインの発想が大切で、高齢者よりも若い人の発想が重要なことは明らかです。
また、農業は気候、土壌の質、伝統文化を含めた地域性など、多くの要素が絡むため非常に熟練を要する仕事です。例えば、その土地に合った自分なりの栽培方法を見出すのに10回の試行錯誤をするだけで、10年もの長い時間がかかってしまいます。俗にいう10年選手といった熟練者となる前に後期高齢者になりかねません。高齢者になってから新規就農する人ばかりだと、農業の熟練者が減り、「高齢の素人」が多くなって生産の質も低下しかねないリスクがありるのです。
人生100年時代にむけて、農業の「高齢化問題」に一筋の光を。
産業の高齢化や長期トレンドといったマクロな問題は、一朝一夕には解決できるものではありません。だからといって目を背けていても事態は悪化するばかり。そこで私は、高齢者になる一歩手前の50歳代に注目し、『セカンドライフ・アグリ』という就農スタイルとして名付け、自ら実証実験することにしました。少し先の回になりますが、若い人の就農にとってどういったことがハードルになっているかを列挙し、社会的な知見とある程度の経済的な蓄えができた50歳代ならそのハードルをクリアしやすいことを、シリーズでお伝えします。
私が微力ながら願うのは、「高齢化」する農業を単に悲観的にとらえるのではなく、「幸せなセカンドライフ」を創造できる業とポジティブにとらえ直して、人生100年時代にむけて”農業の持つポテンシャル”が発揮されること。もし、シリーズ『#セカンドライフ・アグリを楽しもう。』を、今回からお読みいただいた方がいらっしゃったら、ぜひVo.1-1~1-5『人生100年時代へ。農業のポテンシャル①~⑤』の回も併せてお読みいただければ幸いです。
以上、Vo.2-2『農業の現状と問題点を考える。その2:「高齢化」』
*次回は、その3:「耕作放棄地」をお伝えします。
#セカンドライフ , #農業 , #人生100年時代 , #幸福 ,
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