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就農には、見えないハードルがある。     7「経営規模」

農業で生計をたてるのに、必要な経営規模ってどのくらい?
 どれくらいの耕作面積があれば、農業経営によってサラリーマン並みの所得が得られるのでしょうか。水稲経営における作付面積の集積割合の推移、つまり農家1軒あたりの水田の耕作面積を見てみると、近年は拡大を続けています。2015年には3ha(ヘクタール)以上の経営体が約5割にまで拡大しています。

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 たしかに作付面積の拡大は所得の向上につながりますが、稲作で1世帯当りの所得がサラリーマン並みの約600万円の水準となるには、約20haにまで拡大する必要があります。(下図参照:20ha以上で農業所得約570万円)新規就農者の耕作面積の平均値が1.18haであることを考えると、非常にハードルが高く、実際に20ha規模の水稲経営を個人でしているのは、ほぼ北海道に限られています。

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収益性の低い”稲作”が基本の日本。では、野菜作は?
 稲作は、面積当たりの収益性が非常に低いという問題があります。日本の一般的な農業地域において、耕作面積によって経営規模の拡大を図るのが容易ではないため、稲作からより収益性の高い野菜作や果樹作への転作によって、所得を向上させていくことが考えられます。

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 しかしながら、野菜や果樹の栽培は、品目ごとのノウハウやケア、特に連作障害への対応が細かく求められるため、稲作よりも手間も労力もかかります。野菜作で経営規模を拡大するには、そういった別のことがハードルとなります。新規就農者にとって、農業でサラリーマン並みの所得が得られる経営規模を確保するには、高いハードルがあるのです。

農業を楽しむには、”身の丈”にあった経営規模で行いたい。
 
農業経営を考える時、基準となりやすいのが”収益”=「サラリーマン並みの所得」だと思います。ここをプライオリティの一番にした場合、経営規模を予想を超えるレベルに拡大しなくてはなりません。
 私が推奨する『セカンドライフ・アグリ』では、「サラリーマン並みの所得」という基準にとらわれず、経営規模は”身の丈”にあったレベル、つまりセカンドライフを幸福にできるレベルに設定します。そうすることで、無理なく持続性の高い農業経営ができると考えるからです。

以上、Vo.3-7『就農には見えないハードルがある。7「経営規模」』
*次回は、ハードル8「労働負荷」をお伝えします。
#セカンドライフ , #農業 , #人生100年時代 , #幸福 ,

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