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「月の裏に望む」という物語を読んで


 私の好きな小説の作家さんと会えた夜

文章で気持ちを表現し、人に伝えること。
そのことの難しさと素晴らしさ。

書き手が伝えたいことを物語に溶け込ませて発信する。それを受け取った人が自分の好きなように味わう。

読書って料理と似ていていますよね。
ひとことで言えばすべては「お好み」
好きか嫌いか、シンプルなこと。

「月の裏に望む」という本を読み、心惹かれてしまいました。
面白くて、悲しいし、切ない。
色んな湧き出す気持ち。
主人公に感情移入してしまい没頭して読めた物語でした。

単なる恋愛小説ではなく、人間の色んな面を深く掘り下げていく作品です。

「月」にも見えていない部分があるように、人間にもあります。
ただその人の一面を見て、良い悪いをジャッジするのではなく、
色んな側面があるということに気付くこと。

それが大人になるということなのかなぁ。。
と色んな問いかけができる作品でした。

こんなに素敵な小説を書く方はどんな人なんだろう、きっと素敵な人なんだろうなと思うようになりました。

そんなある日、色んなタイミングが奇跡的に重なって、その憧れの作家さんとお会いすることになり、お話して、ご飯を食べて、お酒を呑んで🍷
夢のような幸せで楽しい時間でした。

またそのお店のお料理とお酒がおいしくて♥
お話も楽しくてお酒がすすみました。

作家さんなので会話の言葉選びにもセンスが光り、それを受け取る私も感受性が強いので120%味わって受け取りました。

私も文章を大切にする仕事をしていて本当によかったと思いました。
本がただ大好きで、こんなに素敵な出会いにつながるなんて♥

「本の力ってすごいですよね」と。
その物語は「生きている」という話を深々と。
哲学的に話し合える相手はなかなかいないので
貴重で本当に楽しかったです。

感動したのは、私が本についての感想をお話しすると、私の話をちゃんと心で感じてくれる方だなぁと。話していてとても心地よかったのです。

私が丁寧に紡いだ言葉を、そっと手のひらで受け取って
それをあたたかく包んでくださるような感じでした。


「あなたの言葉には重力がある。ちゃんと何グラムかの重みが。
言葉ってね、ほら、無重力の中で飛び交って消えていくことが多いでしょ。
でもあなたの言葉には重さがちゃんとあるよ。今まで苦労してきた力なのかな」
と。
じーーーーん。
そんな深い部分まで感じ取って、ちゃんと手のひらで受け取ってくださってるんだなぁ。
言葉を大切にする書き手と読み手のとても濃厚で素敵なやりとりでした。
そんな風に会話を表現するなんて、さすが作家さんだなと感動しました。

その作家さんも「今日は楽しいなぁ♪お酒がすすむなぁ」と笑顔だったので✨尊敬する方のこんな表情が見れてもう感無量でした✨

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「月の裏に望む」という小説を読んだ感想


六章からなる連作短編小説です。
最初は「短編で別々の話」と思って読んでいましたが、読み進めていくうちに「あれ?この人って」と読み返しながら不思議な感覚になりました。
読み手をワクワクさせ、惹き込ませる力のある文章です。
読みやすいだけではなく、その物語の深さに感動します。

私は第三章の「桜の散る頃に」の鎌倉を舞台にした大人の恋愛物語が好きで、読みながらかなり萌えました(笑)
やっぱり恋愛物語は、主人公に惚れたい!
読み手も「魅力あるなぁ」と惹かれるものがなければ読む気がしない。
でも大人の男性コウスケさんはとても紳士的で頭が良くて品がある。
そんな仕事のできる男性が、若い女性「瞳」に惹かれていく。
めちゃくちゃロマンティックなんです。
どんな風に惹かれていくのかの描写がたまらなく良くて、ふたりのやりとりの中でとても好きなセリフをここで抜粋します。

「彼女の一挙手一投足が大聖堂に響くオルガンのように脳内でリフレインする」「心のリフレインは止むどころか、強まる一方だった」

はい、このセリフでコウスケが瞳にとても惹かれていくのがわかります。
瞳の魅力的なかわいらしさも「これは惹かれるよな」と思わせるもの。

これ以上書くとかなりのネタバレになるのでやめておきます。
瞳はとても愛おしい言動をたくさんします。
それを目にし、感じるコウスケの心の動きを
大人の男性が「こんな自分を私は知らない」と言ってしまうような恋を。
あぁ。。恋というにはほろ苦すぎる~!

そんな恋も月のように。向こう側から見たらまたちがうのか。
恋とはその一瞬のその側面を切り取ったコラージュ。

他の章は、まるでテイストが違っていて
「え?これ同じ作家さんが書いたの?」と思うくらいです。
けれどすべて読み終わると
「あぁ~あの時の、この人が!あぁ!」となって読み返してしまいます。

現実生活では、ひとりの人間の違う側面というのはなかなか覗けない。
小説だからこそ味わえる視点であり「違う人と違う場所で」になるとひとりの人間が全然違う顔を見せます。
その意外性や驚き、隠しているわけではないけど
「見えない部分」それを楽しめる作品です。

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「ことわ荒太」という作家さんについて

会う前は特にイメージしてなかったのですが、
お会いしてみてとてもやわらかい雰囲気の優しくておだやかな紳士でした。

お話していくと、とても気さくで話しやすくて軽やかで。
同じ歳ということでとても親近感が湧いてさらに話しやすくなりました。

年齢なんて関係ない!と思わせるとても魅力的な雰囲気でした。
お互いの過去のことや家族の話は一切せず、楽しく著書「月の裏に望む」の登場人物について語れたこともとてもうれしかったのです。

小説の中で、なぜあの時、彼女はあんな行動をとったのか。。。
「いや、書きながらまさか彼女があんな行動に出るなんて思わなかったんだよ」
その言葉に鳥肌が立ちました。
ことわ先生は、
「書いているうちにプレイヤーたちは勝手に行動しはじめる、自分が予想外の展開になることがある」とおっしゃいました。
おぉおお~!!すごい!面白い!その物語は降りてきてるんですね!
「物語は生きている」確実にこの本の中で。そう感じました。

私は長年、読書が大好きでたくさんの本を読んできました。
その経験から「あ、この本は物語が降りてきたな」と感じるものは天才的な芸術作品だと思います。
「月の裏に望む」この作品にも天才的なものを感じて私のお気に入りの一冊となりました。
その本に著者のご本人から直筆のサインをいただけて、本当に感無量です。

ことわ先生とお話して感じたことは、とても物語を丁寧に時間をかけて作っている。。。というより「育てているなぁ」と感じました。
手塩にかけて大事に育てられた作品が世に出て、生きているのです。
まるで子供が成人したように。
そして読者さんたちの心にそっと、笑ったり泣いたり心を動かす作品となって降りてきてくれるのです。

この作品を読んで、こんなにも惹かれた理由がわかりました。
こんな素敵な作家さんに丁寧に時間をかけて作って(育てて)もらったのなら納得がいくと。




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