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採用基準の見直し ①条件のみで採用する事業所

「いい人を採用したい」と採用する側は考えます。

では「いい人」とはどのような人でしょうか?いい人の基準=採用基準です。

明文化はしていなくても、選考に関わるマネジャーは採用基準をぼんやりと描いていると思います。もしも「何も考えずに直感で選考している」としたら、それはさすがにマズいです。

人材の採用は会社と求職者の双方にとって一大事。人を見る直観力が天才的に優れている人でない限り、直感のみで判断するのはやめておいた方が良いと思います。


さて本日の結論は「採用基準は事業所の状態に合わせて見直した方がいい」です。採用基準と事業所の状態のミスマッチにより起きている問題と、基準に合った状態について本日から数回に分けて書いてきます。


本日とりあげる採用基準はこちら。

基準① 勤務条件さえ合っていれば概ね誰でも採用

統計を取ったわけではありませんが、この基準で採用している管理職が割合としては一番多い気がします。

また、この基準で採用している事業所の多くは、離職率が高く常に求人募集をしている印象です。

この基準で採用している管理職に話を聞くと「人材不足で現場が回らないから、人物の選り好みをしている余裕はない。とにかく採用しなければ」と言います。

断言します。いつまでも人材不足が解消しないのは採用基準のミスマッチが原因です。完全に管理職の責任です。

人材不足が常態化し職員が定着しない職場では、現場の職員から管理職に対して人材不足の不満の声があがり続けます。管理職には必要な人員を確保する責任があるので、職員の不満は甘んじて受け止めなければなりません。

管理職としては職員に批判されるのは辛いことです。

そこで採用を急ぎます。

偶然にも求める条件に合致した人が面接に来ると喉から手が出るほど採用したくなります。そのとき、勤務条件以外の採用基準を持たない管理職は、人物的にこの職場には合わないと感じても、現場職員の批判を恐れて採用します

「現場が回らないから採用せざるを得ない」の間違いでしょ?という声が聞こえます。

いえ、間違いではありません。条件だけで採用するのは管理職が現場職員に嫌われたくないからです。


条件さえ合えば誰でも採用していいのは、どんな人が入社しても人材育成によって自社の求める職員に育てられる事業所です。

ここまで人材育成の体制が整っている事業所は最強です。

そのような事業所には優秀な人がたくさん応募してきます。よって結果的には”誰でも”ではなく、選抜した中から優秀な人材を採用しています。


嫌われたくない管理職の見分け方

現場のリーダーに対し、採用予定者についての情報と入社後の方針をきちんと伝えているかで分かります。

例えば「今回面接に来た人は、人の話を聞かない傾向があるように感じた。職場も転々と変えていて長く続けられるか心配もある。しかし他に応募もない状況だから、時間がかかっても根気強く指導して育ててほしい」と説明し、リーダー達の理解を得られたならば採用してもいいかもしれません。

反対に、不安材料をリーダー達とは共有せず「ちょっと暗めの人だけど土日も夜勤も入れるし、他に応募もないから採用するのでよろしく!」とだけ伝えるのは、前述した「嫌われたくない管理職」の典型です。


採用活動のゴールは、事業所が掲げるサービスを継続的に提供する体制を整えることです。採用人数ではありません。

人材が安定していない時期に、チームの輪を壊す可能性がある人を採用すると余計に現場が混乱し職員を疲弊させ、ますます体制を弱体化させる可能性があります。

体制整備をゴールにしている管理職は、現状の体制に合わない人には「不採用」の決断をしつつ、現場スタッフの不満を受け止め説明する責任を負います。


採用を起点とする負の連鎖を止めるには、自らが「嫌われたくない管理者」だと認めるのが一番早いです。嫌われる恐れを手放して本当のゴールに向かってください。

しかし自らが「嫌われたくない管理職」だと認めるのは勇気がいります。

そもそも人は誰だって嫌われたくありません。僕も嫌われたくありません。

僕は嫌われたくないからこそ、目先の採用ではなく職員が安心して働ける体制整備を優先します。すぐに採用できなければ、不満をぶつけられるかもしれません。でも説明し続けて、本気で体制整備をしていることが伝わればきっと分かってもらえると信じています。


めでたし〃



次回は「未経験者を採用した方がいい事業所、経験者を採用した方がいい事業所」について書いてみようと思います。よろしければフォローの上、次回更新をお待ちください。


立崎直樹


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