上手に仕事を任せるリーダーの考え方
リーダーは「任せる」ことが大切な役割
リーダーやマネージャーになると、到底一人では到達できない成果のアウトプットを求められます。
そのために、リーダーはチームが最高の成果が出せるように、チームマネジメントをするのです。
マネジメントにおける重要項目のひとつは、仕事を任せることです。
リーダーになる人たちの多くは、元々プレイヤーとして優秀だった人です。
介護士としての能力が評価されて、リーダーや責任者を任されるのは当然のこと。
介護士としてはイマイチだけど、リーダーとしては期待できるというケースは、あまりないと思います。
優秀な介護士が、すぐに優秀なリーダーになれるとは限りません。いち介護士としての役割と、リーダーの役割は異なるからです。
介護士は、目の前のケアに最善を尽くし、目の前の後輩に指導するのに対し、リーダーは、自分のいない場面でも最善のケアがなされるようにマネジメントします。
全てを自分でやろうとすると、かえってマイナスになってしまいます。
「任せる」の勘違い
任せると言っても、どうやって任せ方がわからないと感じている人もいるでしょう。
今回は、こんな任せ方はよくないという失敗例とその理由をいくつか示します。
失敗するとわかっている方法を避ければ、無駄な失敗をせずに済みます。
★リーダーになったら、自分の嫌いな仕事をしなくていい!?
人それぞれ、仕事内容に好き嫌い・得意不得意があります。
嫌いな仕事を、他の得意な人に任せるのはアリです。
しかし、嫌いな仕事を誰でもいいからやらせようというのは絶対ダメ。
それは「任せる」ではなくて、嫌なことを「押し付け」ているだけです。
この失敗は、リーダーはメンバーより偉いと思っている人によくみられます。
偉くなったから、もうこんな仕事はしなくていいんだという発想ですね。
★リーダーが率先して嫌な仕事を引き受けて、楽な仕事を任せる!?
介護の仕事をしている人は、心が優しく相手を慮る性格の人が特に多いので、このタイプのリーダーはたくさんいます。
このタイプは、メンバーからも結構慕われます。
「みんなが大変なことは、私(リーダー)がやるから大丈夫」って頼もしいですよね。
心構えとしては最高です。
けれど、そこにも落とし穴が。
リーダーとて人です。
嫌なことばっかりやっていたら、ストレスもたまります。
そのうち、「何で私ばっかりこんな大変なことをしなきゃいけないの」「何でみんなは助けてくれないの」と不満が溜まってきます。
この不満は、メンバーやチームに対する不信へと繋がる。
よいマネジメントには、リーダーとメンバーの間の信頼関係が最も重要です。だから、このタイプはある意味とても危険なのです。
この二つのタイプに共通しているのが、任せるの基準を「嫌い」「大変」においていることです。
チームには色んなタイプの人がいて、それぞれに「好き嫌い」「得意不得意」があります。だから、リーダー個人の価値観で仕事を振り分けるのではなく、リーダー自身も含めチームメンバー全員の適性を見極めた上で、誰にどんな仕事を任せたら一番いいのかを考えて任せます。
★任せた仕事のその先を知らない
自身が経営者でない限り、リーダーも他の誰かから仕事を任されます。
リーダーは、任された仕事をさらに他のメンバーに任せる。これがリーダーの役割です。
しかし、メンバーに任せたその仕事が、その後どうなったのか知らないというのでは、リーダーとして失格です。
最初に仕事を依頼した人からリーダーに対し「あの仕事どうなってる?」と確認されたときに「〇〇さんにお願いしてあるのですが…」と答えるようなパターンです。
この例でも、「やばい。進捗を確認してなかった!」とハッとするなら大丈夫。
一方、「〇〇さんが報告してこないのが悪い」と思っているようだと危険です。
仕事を任せて、その後の責任を取らないことを、丸投げといいます。
丸投げリーダーは間違いなく周囲からの信頼を失います。
丸投げした仕事と共に、信頼も投げているのですね。
ただ、気をつけてほしいのは、悪意がなくても忙しいリーダーは知らず知らずのうちに丸投げをしがちということです。
だから、「私は丸投げなんかしない」ではなく、任せた仕事が丸投げになっていないか時々振り返るぐらいの配慮が必要でしょう。
「任せる」とは信頼のプレゼント
あなたが初めての仕事で、最初の仕事を任された時の感情を思い出してください。
「嬉しい」
人は、本当は任されることが嬉しいのです。
相手に信頼されたと感じるのです。
僕は、任せることは相手へのプレゼントだと思うことにしています。
プレゼントは、もらった方も渡した方も幸せな気持ちになります。
だから、仕事を任せるときにはプレゼントを選ぶように、相手のことを想像して仕事を選び、感謝の言葉を添えて任せるといいと思います。
すると、
仕事を「やってくれてありがとう」
仕事を「任せてくれてありがとう」
と、任せた方にも任された方にも信頼と感謝が蓄積され、ますます強いチームへと成長していきます。
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