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「アットホーム」「ベテランが多い」職場で早期退職が発生する理由

春は新入社員が入ったり、人事異動によって職場が変わったりする人の多い季節です。
今このnoteを読んでいるあなたも、その一人だったりして。

せっかく入社した職員がすぐに辞めてしまう職場があります。
あなたはマネジャーとしてこの問題に取り組んでいます。
アットホームで職員同士の仲が良くて、長く勤めている人は「すごく働きやすい」と言ってくれているのになんで?とあなたは考えています。


早期退職の罠① アットホームな職場

求人広告でも見かけることば「アットホーム」
アットホームな職場とは、どんな職場なのでしょうか。
文字通りならば、家庭的でくつろげる居心地の良い職場という意味でしょう。
あなたも仕事から自宅に帰ってホッとする感覚は体験したことがあると思います。アットホームな職場とはおそらくそんなイメージなのでしょう。

Aさんは郊外の大きな一軒家に家族5人で仲良く暮らしています。週末は庭でバーベキューをして楽しんでいます。
Bさんは都心の高層マンションで夫婦二人暮らし。こちらもお互いの趣味である絵画を部屋に飾り、自宅ではくつろいで過ごしています。

AさんもBさんも、自分にとって自宅はアットホームで居心地のいい場所です。
ある日AさんがBさんを自宅に招きました。「うちは賑やかでアットホームだからから遊びにおいでよ」

訪問したあとBさんは、どう感じたと思いますか?
Aさん宅での時間は不快ではなかったものの、Bさんは自宅に帰ってホッと一息ついたことでしょう。「やっぱり自宅が一番だ」と。

もうお分かりですね?
「アットホーム」「居心地がいい」の定義は一人ひとり違うのです。
また、似たような環境であったとしても、しょせんは他人の家。はじめから自宅のようにくつろぐことはできません。
職場も同じです。
今働いている人にとってのアットホームな職場が、新人職員にとって居心地がいい職場かどうかはわからないのです。


早期退職の罠② 長く勤めている人が多い職場

職員が退職せずに長く勤めてくれるのは、とてもありがたいことであり、会社にとっても有益なことです。
あなたの職場にも長く勤めてくれているベテラン職員がいることでしょう。

では、なぜそれが早期離職の原因になるのでしょうか。
長く勤めている人が多い職場は、新しく入った職員にとっては公共性が低く他人の家に入るような敷居の高さを感じる場所に映ることがあります。

たとえば、大きなショッピングセンターのレストランなら、初めてでも躊躇なく入れますが、立派な門構えの料亭にいきなり入るのはハードルが高いものです。しかし、常連になると料亭はとても居心地がよい場所になります。
これが公共性と居心地の関係です。

長く勤めている職員が多いのは、良い職場のひとつのバロメーターです。
しかしもう一つ注目したい数値が、中堅や若手の職員がどれくらいいるかということです。
新入社員にとって敷居の高い職場は、多くのベテラン職員と数名の若手社員で構成され、中堅社員がほぼいない状態である場合があります。
管理職は「長く働いている職員が多いのだからここはいい職場。たまたま新しく入った人が定着しなかっただけ」と考えたくなりますが、そこに大きな落とし穴があります。

管理職は中堅社員がいない状況をもっと真剣に問題視したほうがいいでしょう。中堅社員がいないということは、新入社員が定着しなかった結果です。
つまり、新しい職員にとって働きにくい職場。風通しの悪い職場である可能性があるからです。

目指すのは、新しく入った人にとって公共性が高く、誰にとっても居心地の良い職場です。

まずはあなたの事業所の職員構成のバランスをチェックしてみてはいかがでしょうか。
あなたの職場が活気にあふれて、誰にとっても働きやすい職場になりますように。


めでたしめでたし

立崎直樹


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