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介護現場の数字③比較・分解・比較・分解のくり返し

介護現場の数字をまなぶシリーズ
前回は、分析するときは数字を分解して考えようという話をしました。

今回はその続き。前回の記事から読んでいただいた方が、より理解しやすいと思います。

前回は高齢者施設の入居者数を例に、分解の手順を考えましたが、今回はデイサービスの利用者を例に数字を分解します。
数字の分解方法(考え方)を学ぶための例ですので、高齢者施設のマネジャーにも役立つ考え方です。

さて、近所に定員数が同じデイサービスが2件あります。
前月はともに利用者人数が1名増えました。

前回の記事を参考に1名増を、新規利用者と終了者に分解します。
Aデイサービス:新規3名、終了2名 (増減+1)
Bデイサービス:新規7名、終了6名 (増減+1)
同じ1名増ですが、内訳が大きく異なることが分かります。

高齢者施設の場合、終了理由の大半はご逝去です。
一方、デイサービスでは、お亡くなりになった時だけではなく、長期の入院をすることになったとき、生活機能が低下してデイサービスに通うことが難しくなったとき、そして、つまらないからやめると本人が言ったときなどにサービス利用が終了となります。

そこで、次に終了人数を理由別に分解します。
デイサービスAの終了人数は2名
 〔ご逝去1名、要介護認定が非該当(自立)となった1名〕
デイサービスBの終了人数は6名
 〔入院1名、生活機能低下2名、本人の意思3名〕

分解したら比べます。
数値分析は比較と分解の繰り返しです。

デイサービスAの終了理由は、デイサービスではどうしようもない理由です。寿命を延ばすことはできないですし、要介護状態が改善し非該当(自立)になったのは、むしろ自立支援へ向けたサービスの質が良かったからかもしれません。

一方、デイサービスBの終了理由はどうでしょう。
入院。これはデイサービスだけで予防することはできませんが、肺炎予防や転倒予防であれば少しは対策を講じることができるかもしれません。
生活機能低下。これもデイサービスだけで防ぐことはできないものの、デイサービスを利用中の活動によって、維持向上を図ることは可能です。
本人の意思。つまり「こんなところに来たくない」です。これはデイサービスがつまらない。居心地が悪いという理由で、ほぼ100%デイサービス側で改善ができます。

ここまで分解したら、いよいよデイサービスA・Bそれぞれが、利用者人数を増やすために講じる策を考えます。

こたえは?と聞く前に、ぜひ自分の頭で考えてほしいと思います。
あなたがデイサービスA・Bの管理者だったとして、利用者人数が伸び悩んでいる理由(課題)をA・Bそれぞれ考えてください。

私の考えは次回の記事に書きます。

今回は、分解した数字をさらに分解、そして比較というお話でした。


めでたしめでたし

立崎直樹



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