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群がるスタッフには「指示」をしよう

施設など複数人のスタッフが同時に働いているところでは、何か突発のことがあるとワーッとみんなで群がる傾向があります。高齢者介護に携わる人は親切な人が多いので、野次馬根性というより”心配で”集まっているように見受けられます。


たとえば、入居している方が廊下で転倒した時

救護と急変に備えた観察のために、第一発見者はその場を離れてはいけません。

そこへ異変に気付いたスタッフがわらわらと集まってきます。連絡を受けて事務所からも人がやってきます。気づいたら4~5人で現場を囲んでいることも。

平時から最小限の人数で運営しているのに、一か所にこんなにスタッフが集まってしまっては他の入居者はどうなっているのでしょう?


このような場面でリーダーは何をしたらいいのか考えてみます。

あなたや、あなたの周りのリーダーはどうしていますか?

・自らが率先して転倒現場に駆け付け率先して対応する

・みんなが集まってきたのを見て、手薄になっていることろをさりげなくカバーする

率先行動はリーダーとしてふさわしい行動です。しかし、リーダーにはその前にもっと大切な役割を果たしてほしいところです。


それは、

状態を判断し、その場に必要な人と、その場を離れて別の仕事をする人を分けて指示を出すことです。

「ここはAさんとBさんに任せて、他の人は通常の仕事に戻ってください」と指示を出す。あるいはAさんとBさんが担っていた仕事を他の人たちに再分担する。これがリーダーの仕事です。

転倒した人の状態だけでなく、スタッフの専門性や力量を見極めて指示を出す能力も必要です。メンバーによってはリーダー自身が転倒した人のケアに当たった方がいいケースもあるでしょう。その場合も「ここは私がみるから、他の人は○○をしてください」と指示を出す。


リーダーの口癖として「どうしてみんな自分で考えて動いてくれないの」というのがあります。モヤモヤしても仕方ありません。指示を出せばいいのです。「黙っていてもみんなが自分で考えて動いてくれる」という期待はリーダーの妄想にすぎません。


成熟したチームではメンバーが自分で考えて動いてくれるので、そのようなチームの話を聞くと羨ましく思うでしょう。しかし、一朝一夕でチームは成熟しません。リーダーが何度も説明と指示を繰り返すことで、メンバーがリーダーの考え方を理解する、そのうちにメンバーが自分で考えて動けるようになるのです。

自分で考えられるチームは、メンバーに恵まれているのではなく、リーダーが育てたことによって出来上がっているのです。

新任のリーダーや指示に慣れていないリーダーは「自分の指示が間違っていたらどうしよう」と心配することでしょう。しかし誰でも失敗はします。やらなければ身につきません。失敗を恐れず、失敗を学びに変えればいいという意気込みで指示を出してみてください。


立崎直樹



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