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チームの時間外労働削減のために、今すぐできるマネジャーの行動

時間外労働削減にむけた取り組みの続編。
今回は、具体的に時間外労働を減らすためにマネジャーは何をしたらいいのかお話していきます。

前回の記事を読んでいなくても理解できますが、そもそも時間外労働の削減がなぜ必要なのかは全員に知っておいてほしいので、お時間のあるときにこちらもお読みいただけると嬉しいです。

現状分析は大事だが、勘もけっこう当てになる

ハーモニーマネジメントでは、どんな問題に対しても、まずは現状を正しくとらえることから始めます。
問題と現状の差にこそ、課題があるからです。

しかし、今回は現状分析の前にできることから紹介します。

残業時間の削減というミッションが与えられたとき、マネジャーのあなたが「どこに無駄があるのかはわからないけれど、確かに少し無駄がありそうだ」と感じたなら、95%以上の確率で本当に無駄があります

長時間労働の常態化は、すぐに改善すべき重要課題です。
精緻な現状分析の前に、あなたの直感を信じて進んでヨシです。

残業時間削減宣言

あなたの直感が「無駄な残業がある」と教えてくれたら、すぐにできる行動があります。

最初に行うのは、チーム全体に対して残業時間の削減を宣言することです。

現状分析ができていないうちは、具体策も数値目標もなくて構いません。
ただ、長時間労働が常態化している今の状況は問題であり、この状況を一日も早く改善することは緊急かつ重要な課題であるという、リーダーとしてのメッセージを示します。

その際には、何のために残業を削減するのかもしっかり伝えることが大切です。
☆目的については前回記事を参照

宣言しただけで残業が減った

長時間労働が常態化している老人ホームに人事異動で着任したマネジャーが、残業時間削減宣言をしたときの実例です。

人事異動で新しい施設に着任すると、事務職員が夜の8時、9時まで毎日残っていた。
何をしているのかと様子を見ていると、二人でポスターに入れる図案を話し合っていた。また別の日には、何の意味があるのかわからない資料のチェックを入念に行っていた。
みんなが”ふつうに”残業しているので、マネジャーも「私も何かしていないといけない」という気になり、職員たちよりもさらに遅くまで残業するようになっていった。
しかし、このままでは自分の気力・体力も持たない・・・。

そこで、着任して最初のミーティングでメンバーに宣言をした。
「皆さん、いつも遅くまでがんばってくれてありがとうございます。でもこのままの働き方では、いつか皆さんも私も体を壊してしまいます。私にとっては皆さんに健康や私生活の充実も仕事と同じかそれ以上に大切です。だから、全員で残業時間の削減に取り組みましょう。仕事が終わった人は周りを気にせず定時で退社して構いません。翌日に回せるものは翌日にやればいいので、無理して当日中に終わらせる必要はありません。よろしくお願いします。」

着任したばかりで現状分析が十分にできていないため、具体的な問題点や取り組みについては、一切触れなかった。

しかし変化は翌日から現れた。
いつも最後まで残るリーダー格の職員が、わずか30分の残業で退社したのだ。
引きずられるように、他のスタッフも日に日に退社時間が早くなっていく。

数週間後、リーダー格の職員に話を聞いてみた。
「最近は残業を減らして早めに帰るようにしてくれてありがとうございます。仕事内容ややり方など何かを変えたのですか?」

職員の答えは意外なものだった。
「いいえ、仕事の内容ややり方はさほど変わっていません。先日のミーティングでマネジャーが『残業しないで早く帰ろう』と言ってくださったのが、すごく大きかったんです。
これまでは、上司や他のみんなが残っているから帰りにくい。明日やれば間に合うことでも、今日中にできることは今日中にやらなけらばいけない、という雰囲気がプレッシャーになって、残業しても残業してもまだやり残している感覚がずっとありました。家に帰ってからも、休みの日も仕事のことがずっと気になって。
でも、残業を減らすという方針を聞き、明日のことは明日でもいいんだと思えるようになったら、すごく気持ちも楽になり、早く帰ることの罪悪感がなくなりました。ありがとうございました。」


いいかがでしょうか。
長時間労働が常態化しているチームでは、誰が言い出したわけでもなく、「残業するのが善で定時退社が悪」であるかのような風潮がはびこっているケースがあります。
そんな風潮のあるチームに対して、マネジャーが、「このチームの善は時間内で仕事を完結させることであり、時間外労働はなるべく減らそう」というチームの方針を示したことで、職員の中に価値観の変化(パラダイムシフト)が起きたのです。


時間外労働削減に取り組みにおいては、まず「時間外労働を削減する」というメッセージを全職員に伝え、チーム全体のの価値感をそろえることがマネジャーの役割です。

これだけなら、分析も具体策も必要ないので、すぐに実践できます
あとは、あなたがやるだけ。
大丈夫、あなたにもきっとできます。応援しています。

めでたしめでたし


立崎直樹

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