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『新規事業の実践論』

人生をかけた挑戦の方法として、独立起業だけではなく、社内起業という選択肢が加わった。
成功のカギは、WILL(意志)の強さと明確さ。仮説を顧客に持っていき修正するサイクルを300回繰り返す根気強さ。

今回読んだ本は『新規事業の実践論』(麻生要一  著)

読書のきっかけ

新規事業に関する書籍を探していたら、書店で平積みされており、面白そうだった。

何について書いてある本?

1500以上の新規事業の支援をしてきた経験と実績を基にした実践論。
創業メンバーの選びかたや役割、立ち上げ段階を6ステージに分けてそれぞれのステージで必要なこと、やってはいけないことを具体的に示している。
さらには社内起業特有の、社内調整の方法まで書いてある。

ハイライト

最初にやるべきことは、WILL(意志)の形成
WILLの定義は①誰の②どんな課題を③なぜあなたが解決するのか

社内起業、独立起業に関わらず、新規事業に取りかかるにはWILLの形成が必要不可欠だ。
WILLの明確さ強さ次第で、困難に直面したときに諦めず継続できるか、手段や手法にこだわらない意思決定ができるかが変わる。状況に対応してしなやかに変化しつつ、成功するまで継続していれば、必ずいつか成功するのだから。
また、①②は仮説で終わらせずに、実在するのか確めることが重要だ。架空の顧客や課題をいくら追っても事業は成立しない。ゲンバやホンバに足を運び、自分の原体験とするのが最も強いWILLを生む。

創業メンバーは3人以内。数ある役割のうち、絶対に外部に委託することができない役割は何かを考え、その役割を担える人。また、「外部に委託し得ない」と設定したものこそ、競争優位性の源となる。
レジリエンス(挫折や壁に直面したときの回復力)が備わっているメンバーであることも重要。

創業チームに必要な3つの力
Network(異分野をつなぎネットワークする力)×Excution(あらゆる業務を圧倒的に実行しやりきる力)×Knowledge(深く広い教養と知識)
Network:自分とは異なる異分野・異業種の人たちとゼロから人間関係を構築する力。

「新規事業を誰と立ち上げるのか」はもっとも重要なことのひとつ。気が合う似たもの同士より、同じWILLを持ちながらも、違う特性を持つ人と組んだほうがうまくいく。
全員の能力を合わせたら、創業チームに必要な3つの力を満たせることが条件。
役割については、一部を外部に委託することも可能なので、フルスペックで揃える必要はない。
ただし、WILLの③(なぜあなたが解決するのか)まで委託するとしたら、新規事業を立ち上げる意味がなくなってしまう。もしどこを委託するか線引きができないなら、WILLの設定が甘い可能性があるので、戻ってもう一度検討する。

仮説検証〜事業計画立案のタイミングまでは、既存事業では正しいとされる「確認、事例、調査、会議、資料、社内、上司、先輩、競合」の要素を一つも出してはいけません。この時期に必要なのは「仮説、顧客」のみです。
立ち上げに成功した約2000の新規事業では「仮説を顧客のところに持っていき、検証するサイクル」を約300回転させていた。これこそ唯一再現可能かつ汎用的な手法です。

新規事業のWILLは顧客からスタートしているはずのに、社内の視線に捕らわれて社内調整、社内政治を優先してしまいがち。しかし、その瞬間WILLの輝きは消え失せ、既知の凡庸な計画になってしまう。
こうしたら顧客の課題を解決できるというソリューション仮説を顧客に当てて、改善点を見つける。その繰り返しをひたすら行うことが新規事業の成功には不可欠である。
しかし、自分たちでは「社内調整はしない」と決めていても、求められれば応じざるを得ないのが会社員。ブレないWILLの強さと、社内の目を気にしすぎない精神面でのタフさ、創業メンバーとのレジリエンスが肝になる。


新サービスリリース後は、Primary Customer Success(最初の顧客の成功)が最重要 
Primary Customer とは①身内や関係者ではない②営業され「はじめてその商品を知った」状態から購入にいたる③正規の価格を支払って買ってくれる④購入しただけではなく、購入後たしかに使ってくれる⑤使った結果「支払ってよかった」と満足してくれる。顧客のこと。
Primary Customerが見つかるまで、それ以外のすべての潜在顧客は必ず、否定的な反応を示す。世間は驚くほどネガティブで無反応である。
ケンタッキーフライドチキンのフランチャイズビジネスはPrimary Customer に出会うまでに1009回断られている。

Primary Customer こそ新規事業の物語の起点となる。
何としても成功させる(顧客の課題を解決する)ことが重要だ。その先の事業拡大や目先の収益よりもとにかく目の前の成功を目指す。顧客の成功こそ事業の存在価値なのだから。
アイデア段階では好反応でも、実際に購入の段階になると無反応になるというのは想像に難くない。ただぼくが想像している以上に無反応なのだろう。それでも実証段階を経て、必ずこの事業は成立すると信念をもてる事業であれば決して途中であきらめてはいけない。この時点までくれば、どこまで持ちこたえられるかという我慢比べになるだろう。


この本をどう活かす?

独立起業か社内起業かはまだ決まっていないが、構想中の新規事業を具現化するには、この本に書かれた6つのSTEPに沿って進めることで、達成できるイメージが湧いた。
まずはSTEP1の”たしかに存在しそうな顧客が、たしかに存在しそうな根深い課題を持っていて、それはそのソリューション仮説によって解決されそうであり、どうやったら期間内かつ予算内で検証できるかのイメージをもつ”ことから始める。


こういう人におすすめ

起業を考えている人。(社内、独立問わず)
起業は考えていないが、何か新しいことを始めたいと考えている人。
社内起業や社員の独立を推進したい経営者
新規事業の担当者


めでたしめでたし

立崎直樹


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