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採用基準② 介護の実務経験者の採用

採用基準に関する記事の2回目です。

前回の記事はこちら

今回は介護の実務経験者と未経験者の採用について取り上げます。

前回の記事にも書きましたが、採用基準はその時の事業所の状態や体制によって変化させる必要があります。

経験者を採用した方がいい事業所と、未経験者を積極的に採用した方がいい事業所があります。大切なのは現状に合った人材を採用することです。


経験者採用に向いている事業所

経験者のメリットとして第一に思い浮かぶのは即戦力です。すでに介護実務を経験している人であれば、一般的な身体介護技術は身についていると期待できます。

従って、介護未経験の職員を育成する体制のない事業所は、経験者を中心に採用した方が良いでしょう。指導体制のない状態で未経験者を採用すると、せっかく入社した職員がなかなか独り立ちできず、人数は増えたけど仕事は楽にならずという状況に陥ります。その点、経験者は入社して間もなく一人で仕事ができるようになり、早い段階で活躍してくれます。日々の仕事も滞り最低限のサービスすら提供できない事業所は、未経験者よりも経験者を選んで採用した方が良いでしょう。

経験者を採用するメリットのもう一つは、新しい風を吹かせてくれることです。同じ種類の介護保険サービス事業所でも、会社や事業所が違えば”常識”が異なります。また今現在、自拠点で抱えている課題はすでにどこかの事業所で解決しているという場合もあります。

法人を越えて情報交換をしている事業所はまだ多くありません。しかし、他の事業所で働いていた人がチームに加わることで、他社の取り組みを知り、業務改善のヒントを得られます


経験者採用の注意点

経験者には今までの実績や経験に基づくプライドがあります。プライドがいい方向に作用すればチームが活性化しますが、時として”自分のやり方”、”前の職場のルール”にこだわって新しい組織のルールややり方に馴染めない人がいます。当人は新しい会社で自分の経験や知識を生かそうと意気込んでいるだけで悪気はないのですが、入社早々に組織の批判をするなど何かと波風を立てる人はこのパターンです。

そういう人が入社したとしても、事業所の理念が浸透し、帰属意識の高い職員の多い職場ならば問題はありません。経験者の意見を聞きつつ自事業所に合わせた理念教育・指導が可能です。

しかし、理念が浸透しておらず職員の帰属意識が弱い事業所に、経験者で”自分のやり方”にこだわりの強い職員が入社すると、チームという船が経験者の起こす荒波に耐えられず転覆してしまう恐れがあります。

立ち上げ間もない事業所で、利用者数もそれほど多くなく、理念の浸透を優先したい場合には、あえて経験者を採らないという選択もあります。

人手が足りず教育体制の整っていない事業所にとって経験者は貴重な存在です。経験者が全て組織を乱すわけではありません。面接でよく見極めることが大切です。


経験を自信満々に語る応募者に対して、僕は以下のように面接で伝えています。※自信のある人は好きです。

「私たちが目指しているのは”誰もが最期まで自分の望む生き方を追求できるくらし”です。とても高い理想かもしれません。実際に私たちはまだ理想の半分にも到達していません。しかし理想に少しでも近づけるよう追求し続けています。経験者からみるとただの理想論に映るかもしれません。しかし私たちはその理想を本気で追及しています。誰もまだ達成していない新しい挑戦なので、もしかするとあなたの経験が理念の追求の邪魔になるかもしれません。だから入社時には一旦今までの経験を横に置いてまっさらな気持ちで入社してもらえませんか?一緒に働いて私たちの理念を理解したら、ぜひあなたの持っている経験をゆっくりと掛け合わせてほしいと思います」


今回は経験者の採用について書きました。

「経験者なら誰でもいい」で採用できるのは、理念の浸透したほんの一部の事業所です。経験者の良さと経験による弊害のバランスを考えて、選考していくといいと思います。

あなたの事業所と求職者のいいご縁がありますように


めでたし〃


立崎 直樹 

介護事業所・介護施設向けに具体的な採用活動に関する相談を受け付けています。管理職や採用担当者と話し合いながら具体的な採用戦略を支援します。広告の斡旋や人材派遣・人材紹介はしていません。まずはお気軽にコメント欄あるいはTwitterよりご連絡ください。

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