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介護職と管理職、現場と本部、どっちが大変か競うのはもうやめにしましょうよ。

この国は「大変」=「偉い」みたいな価値観が強くある気がしています。

「国の偉い人も介護現場の大変さを知るために、介護現場に入って仕事をしてみたらいい」
「事務職はいいよね。ずっと座っていて。介護職は一日動きっぱなしで大変なんだから」
「現場はいいよな。管理職になると苦手な数値管理や人の管理、苦情対応などもしなければいけないのだから、ほんとに大変」

あなたもこんな言葉を聞いたことがあると思います。


「大変」とは?

どんな仕事にも大変なことや辛いことはあります。お給料をもらってやっている仕事ですから楽しいことばかりではないでしょう。
それなのに、こっちの方が大変だとアピールするのって変ですよね。
また、大変だと騒ぐ人の表情はどうでしょう。眉間にしわを寄せ、場合によっては怒りに満ちた様子で訴えています。
しあわせそうには見えません

そもそも「大変」とは個人の感覚です。
まったく同じ仕事をしていてる人でも、その仕事を大変と感じる人もいれば楽しいと感じている人もいます。
身体を使う仕事は大変で、事務仕事は楽という問題でもありません。
ちなみに僕は両方を経験したとことがありますが、個人的な感覚としては一日中パソコンの前で作業をする仕事の方が大変(苦痛)でした。

職種によってちがうのは、大変さではなく役割

大変は個人の感覚なので、職種による比較はできません。
でも職種ごとに明らかに違うことがあります。
それは役割です。

介護職員とマネジャー(管理職)を例にとってみましょう。
介護職員の役割は目の前の人の介助をして、直接的にその人の生活を支えることです。
一方マネジャーは、介護職員のシフトを作ったり、研修をしたり、本人や家族、他事業所との連絡調整をすることで、円滑に介護サービスが提供できる状態を作ることが役割です。

介護を届けるためには、介護職とマネジャーの両方の役割が必要なのです。

サービスの契約をして職員のシフトが組まれて、はじめて介護職員は介護ができます。契約もシフトもない状態で、介護職員の目の前に介護する相手が現れることはありません。
そして、予定どおりに介護職員が適切な介護をすることで、事業所としてのサービスが完結します。もし介護職員が予定の時刻に来なければ、適切な介護をしなければサービスは未完になります。

大変競争から抜け出す方法

ここまで読んでくださった方には、「どちらが大変か」を比べることの不毛さをご理解いただけたと思います。
では、どうしたらこの大変競争を抜け出すことができるのでしょう。
ここからはマネジャー視点での解決方法を書いていきます。

ポイントはずばり理解と感謝です。

「わたしの方が大変」と主張する人が一番伝えたいのは、わたしのがんばりや今の状況をもっと理解しようとしてほしい。認めてほしい。という感情です。
でも、「私がんばってるんだから、もっと認めてよ」とは言いにくい。だから「大変」という言葉で伝えているのです。

マネジャーからすると、理解しているし、ちゃんと認めているよと思うかもしれません。でもその理解と感謝は相手に伝わっているでしょうか?

頭の中で理解していても、心の中で感謝していても、相手に伝えなければ相手には理解されません。

もしあなたの職場で「大変だ」という声が多く発せられているならば、最初にすべきは業務改善ではなく、職員に対する理解を示すこと、感謝を伝えることです。
状況によっては業務改善も必要ですが、まずは「理解してもらえた」と職員が感じることが重要です。相互の理解があればその後の業務改善も円滑に進みます。
マネジャーだって認めてほしいという感情はありますが、それは職員に対して吐き出す感情ではありません。いったんこらえましょう。
間違っても「こっちだって大変なんだよ!」なんて言ってはいけません。マネジャーの大変さアピールは逆効果です。


実践例)
職員:「大変なんです!」
マネジャー:「どのように大変なの?」理解しようとする姿勢を前面に出す。
職員:「〇〇が~~なんです」
マネジャー:「〇〇が~~なんだね」と相手の言葉をそっくり受け止めて返す。改善策を即答する必要はない。職員がわかってもらえたと理解することが重要。
マネジャー:「話をしてくれてありがとう」「チームのために考えてくれてありがとう」「いつも一生懸命仕事をしてくれてありがとう」と感謝の言葉を伝える。


たったそれだけ?と思うかもしれませんが、たったそれだけで職場の雰囲気は大きく変わります。
まずは騙されたと思って実践してみてください。
あなたの職場から、大変競争がなくなり、みんながしあわせに仕事ができる環境になることを願っています。


めでたしめでたし

立崎直樹



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