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相川英輔『黄金蝶を追って』の引き算の美しさ 


相川英輔『黄金蝶を追って』 


もっと早く読むんだったな。積んでました。

全体的に、人の日常を描くのがめちゃくちゃうまい。もちろん、たくさん調べたり、読んだりしているんだけど、普通の人の日常を描けるから非日常に転じた時の違和感が浮き上がってくる。

だから、変な言葉を使う必要がなくて、日常からシームレスに非日常へと移行してる。気づいたらそこは、異世界だった。っていう感じ。す、すごい。

構成自体にケレン味がある人も読んでてたまらないけど、この自然と異世界との接続を描ける人っているんだろうか?? 稀有な人だと思う。


働いている人の視座とか、一人一人が持っている世界のものの見方とか。リアルで体験していたかのような感覚がある。

何かを装飾して飾りたくなるものだろうに、日常の馴染んだことばで非日常を描く、引き算の美しさがある。


日曜日の翌日はいつも

1番好きな短編だった。自分が、時間ものに弱いからかもしれないが、願望からの不安、一時の救済。絶望のなかで…の終幕。
構成で見せる文章に惚れ惚れした〜。

日常の習慣が、非日常だと救いになるというのも納得感。絶望のなかでも規則正しい生活が必要だ。

坊ちゃん賞佳作受賞作で、このレベルで佳作なのか…とレベルの高さを感じる。


青春ものとか描いてほしな〜
あとちょっとホラーよりとか。


短編しか読んでないが、長編も読みたい!
他の本も読もう。




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