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横臥者になる自宅療養 週末日記 2月6日〜2月13日


2月6日

 自宅療養も限界だ。意識もはっきりしているのに、できることが制限されていて辛い。料理もできないし、外にも行けないし、誰かと喋ることもできない。旦那が部屋にやってくるだけが救いで、一気にテンションが上がる。でもさりとてできることもない。絵しりとりをしたり、手で紐を引っ張ったりする。とにかく暇で暇で退屈で退屈でしょうがない。でも体力もないからすぐに疲れてしまう。斜線堂有紀のオールナイト読書日記を読む。きっかけはたまたま聞いたツイキャスで、女性だということを初めて知った。そしてのんびりとした丸っこい声の感じに好感が持てた。で、めちゃくちゃ本を読む人だった。桜庭一樹の読書日記も好きだったから、めちゃくちゃ好きになる。あ、わたし全然読んでないわってなる。もっと読まなきゃってなる。月産25万字って化け物か! めちゃくちゃユニークな人で好きなって、映画見たり本を読んだりするモチベーションになる。浮世絵残酷物語を見て、『星の子』を読んだ。積んでた『楽園は探偵の不在なり』も読みはじめたけど、面白い。1日1冊読みたいぜ…


2月7日

 自宅療養最後。お昼に旦那と一緒にマックを食べられてめちゃくちゃ嬉しい。クイズノックみて食べた。自宅療養中に別々の部屋で宅配ピザを食べた時、全然美味しくなかった。楽しみにしてたのに。療養している部屋には暖房なくて、リビングと部屋との間には襖があって遮られて、ご飯を食べる時はマスクを外すから襖は閉めないといけない。窓は換気のために少し空いてて、部屋は寒いし、ピザは冷めてて、コーラはキンキンに冷えてて、旦那は向こうにいて同じ物を食べてたけど、全然美味しくなかった。こたつに暖房を効かせて同じテレビを見て美味しいねって言うのって、とっても欠かせないよ美味しさに。でもこの生活が終わるのでとても嬉しい。旦那も元気で嬉しい。仕事は面倒だけど、あともう少しで今学期も終わりだから頑張りましょう。明日5時に起きれるか心配。


2月8日

 自宅療養終了。出勤早々、マンションの階段から落ちた。歩き方を忘れてしまったようだった。階段の狭さ、手摺がないこと。道の歩き方もうまくなくて、足が重たかった。道の幅、電柱の位置に、わずかな段差。時間を確認してスマホを取り出して、顔を上げたら前に道路標識。今度は頭をぶつけるところだった。青信号を走って渡ろうとするも、渡りきれなかった。知っているはずの感覚と実際に動かせる感覚が違うのだ。職場では疲れて、仮眠をとる。少し横になるだけでも元気になるから不思議。『楽園とは探偵の不在なり』を読む。特殊設定ミステリあんまり知らないのだけど、こういう作風もありなら描いてみたいなって思う。自由でいい。書き方が分かりやすくて、するすると読めてしまう書き方。他の作品も読みたい!


2月9日

 『病気になるということ』を読んでる。なってから読むとまた違って読めてくる。まわりくどくて、何の話ししてるんでしょうって迷子になるんだけど、理解したい。地球外少年少女をみた。めちゃくちゃ面白くて発狂してしまう。ハリポタ感がある。未知の世界に迷い込んだワクワク感っていうか。楽しいと一気見したくなるのだけれど、旦那に止められる。


2月10日

 筋力低下が著しい。足の脛、足首、足の甲が筋肉痛になっている。歩くのが辛い。サロンパスを貼っている。『ケアの倫理とエンパワンメント』を読んでる。ウルフも平野も全然読んでないから、本当に理解できている気がしない。何度も読み返して味わいたい本だ。地球外少年少女を全部見てしまう。明日は休みだから、夜更かしして一気見。戦闘シーン、Sパターン、メガネ、博士の声、イサコ、デンスケとかちょこちょこ電脳コイルのネタ入っててわーってなる。もう一度見返したい。


2月11日 

 パレオダイエットを始める。筋力低下と体脂肪の増加で、体が鈍ってきている。まずは、野菜200gの摂取と、間食をしないことを実践。つけ卵の作り置きをする。あと、お弁当にはブロッコリーを詰めた。最近冷食で、焼き魚がなくなってしまったのが残念。通販で売ってるだろうか。NEATで、とにかく掃除をした。掃除は嫌いじゃないし、掃除中の読書って意外に捗るので、水回りから掃き掃除までこなす。花粉症対策のためにも、カーテン類の掃除もしたい。久しぶりにやったリングフィットで運動負荷を下げてもかなりきつかったのがショック。体をもとに戻そうとしないと、若くないからあとは低下する一方な気がする。シミも増えてきた。年齢的に若いとは思うけれど、肉体の老化を感じる。『承認をめぐる病』を読んだ。フランクルも坂口も好きだけど、「自分にしかできないことをする」という言葉の効能に、あってなる。自分にしかできないこととは何か考えると、それは得意なことに限定されるだろうが、さらに広く取ればそれは行為全体をさす言葉になる。生きる意味を考えて他人の承認を意識してしまうとき、この言葉を思い返したい。


2月12日

 読書会はしご。ウルフの『病気になるということ』を読んだ。小川公代さんの解説で、セクション3の最後の2人の夫人についての記述の意味がわかって、とてもすっきりした。横臥者、弱者の目線で書かれたエッセイだったのだとわかる。ウルフについての解説も勉強になって、彼女のことをもっと知りたい。『ケアの倫理とエンパワンメント』は批評されている本も読んでやっと理解できる感じがしていて、小川さんの「本質を探る」というテーマを理解できていたか。社会に求められてしまう規範に自分を当てはめられることが嫌いで、家事を頼まれるたび(兄と父はやらない)抵抗していた。でも学校や職場、友人恋人関係だと社会が与える規範をあたり前に受け取っていたなと思う。女性だけに課せられる日替わりの水回りの掃除などなど…。 自宅療養中の私は横臥者だった訳だけど、その耐えきれなさって回復してからだったよなとも。自立者のとき、健康を自慢にしていた自分が自分ではない。そのあと、『折りたたみ北京』の読書会に参加した。「百鬼夜行街」と「童童の夏」のレジュメを作る。はじめての発表だったけど、発表してる方が楽しい。色んな人の感想が聞けてよかった。これも別にまとめたい。とりあえず、夏茄が好きなんだなぁと。


2月13日

 『SFマンガ傑作選』を読む。分厚さに読めきれなそうと思いつつも、読んでみたら引き込まれた。星野さんの作品は宗像教授シリーズで読んでて、SF作品を他にも読んでみたくなる。ディストピアものが多かった印象。「ミルクがねじを回す時」はミルクちゃんがめちゃくちゃかわゆくてすき。不思議な国のアリスのアリスが憎らしい感じ。


雑感。

 自宅療養は限界だったな。そういう人はいっぱいいるんじゃないだろうか。自分のすきなことに取り組むのも限界があったけど、あけてもやっぱり本ばっかり読んでるから好きなんだな〜 地球外少年少女は強く勧めたい!

 


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